米イラン緊張 強硬策の応酬に歯止めかけよ

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 米国とイランの緊張が一段と高まった。両国の指導者が強硬措置を競い合い、相手への武力行使を警告している。双方が冷静さを取り戻し、解決の糸口を探らねばならない。

 対立激化のきっかけは、米軍がイラン革命防衛隊のスレイマニ司令官を空爆で殺害したことだ。

 司令官が率いる部隊は、イラクやシリア、レバノンで、親イラン武装組織を育成・支援し、中東でのイランの影響力拡大を支えてきた。司令官がイラクでの活動中に殺害されたことは、その役割の大きさを物語っている。

 イラクでは、米大使館が昨年末にデモ隊の襲撃を受けた。米軍の駐留する基地が攻撃され、米国人が死傷する事件もあった。事態を放置すれば、イラク駐留米兵や米外交官らの被害が増大する、という米政府の懸念は理解できる。

 トランプ米大統領は、自らが殺害作戦を指示したとし、司令官は「テロの首謀者」だとして正当性を強調した。ジョンソン英首相は「彼の死を悼むことはない」と同調し、マクロン仏大統領も米国との連帯を表明した。

 問題は、司令官殺害がイランやイラクの反米感情をあおり、情勢悪化を招くリスクを、トランプ氏がどこまで認識していたかだ。11月に大統領選を控え、国民に「強い大統領」をアピールする狙いを優先したのなら批判は免れまい。

 イラクの議会が米軍撤退を求める決議を採択したことに対し、トランプ氏は制裁を警告した。

 米イラク関係の悪化と米軍撤退は、イランを利するだけだ。トランプ氏は、イラクとの関係を立て直し、中東の安定に向けた包括的戦略を提示する責務がある。

 イラン指導部は、国民から英雄視されていた司令官が殺害されたことを受け、報復を明言した。革命防衛隊が支援する武装組織などを使い、中東に展開する米軍部隊を攻撃する可能性がある。

 報復の連鎖は事態をエスカレートさせ、不測の衝突につながりかねない。イランは地域大国として情勢を不安定化させる行動を自制すべきだ。ホルムズ海峡で民間船舶が標的となり、安全が脅かされる事態があってはならない。

 イランが2015年の核合意の規制に従わず、無制限でウラン濃縮を行うと宣言したことも看過できない。核兵器開発に乗り出せば孤立はさらに深まるだろう。

 中東の混乱は原油高を招き、世界経済に悪影響を及ぼす。日本を含む全ての関係国が重大さを認識し、事態収拾に努めるべきだ。

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987162 0 社説 2020/01/07 05:00:00 2020/01/07 05:00:00

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