世界の低金利 債務拡大のリスクに警戒を

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 経済減速を背景に世界的に金融緩和が相次ぎ、金利が低下した。企業は資金を調達しやすくなったが、リスクも増している。注意が必要だ。

 長期金利は米国で2%を下回り、日本でゼロ%前後、ドイツではマイナスで推移する。中東情勢の緊迫化も拍車をかけている。

 心配なのは、金融機関が貸し出し利ざやを稼ぐため、財務内容の悪い企業への融資などを拡大する傾向にある点だ。優良企業に貸すより高利回りを期待できる反面、焦げ付きの可能性は高まる。

 国際金融協会(IIF)によると、世界の企業(金融を除く)の債務残高は2019年1~3月期で73兆ドル(8000兆円弱)と、07年からほぼ倍増した。

 中国企業の債務残高の国内総生産(GDP)比は150%を超えており、バブル崩壊直後の日本の水準を上回る。南米やアジアの新興国でも増加が目立つ。

 国際通貨基金(IMF)は「いくつかの国で債務の増大と返済能力の低下から企業部門の脆弱ぜいじゃく性がかなり高まっている」と警鐘を鳴らした。もっともな分析だ。

 景気悪化で不良債権が増え、融資する金融機関の経営が打撃を受ければ、金融システムを揺るがす恐れがある。銀行融資のリスク管理が十分なのか、各国の金融当局は警戒を怠ってはならない。

 世界中の銀行などが、高利回りを期待して新たな金融商品を買っているのも不安材料である。

 その代表例が、信用力の低い米国企業向け融資などを寄せ集めて組成する「ローン担保証券(CLO)」だ。基となる一つ一つの融資が適切であれば問題ないが、審査の甘さを指摘する声はある。

 日本銀行の集計では、日本の金融機関のCLO保有残高は、18年度に12・7兆円に上り、15年度の2・5倍に膨らんだ。

 邦銀の保有分は、CLOの中でも比較的安全性が高いとされる商品が大半という。ただ、格付けが高くても、何らかのきっかけで価格の急落や格付けの引き下げに見舞われる可能性は十分ある。

 実際に、08年のリーマン・ショックでは、米国の低所得者向け住宅ローンが数多く焦げ付き、それを基に生み出された高格付けの金融商品が暴落した。金融危機の教訓を忘れてはならない。

 金融機関は格付けをうのみにせず、商品の収益性とリスクを慎重に見極めることが欠かせない。

 日銀をはじめ中央銀行には、こうした金融緩和の副作用にも目配りした政策運営が求められる。

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991372 0 社説 2020/01/09 05:00:00 2020/01/09 05:00:00

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