米イラン対立 抑制的対応を収拾につなげよ

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 米国もイランも、戦争を望まない点では一致している。抑制的な対応が衝突回避につながることを、両国の指導者は認識したはずだ。これを機に緊張緩和を進めねばならない。

 イランがイラクの米軍駐留基地を攻撃した。トランプ米大統領は対抗措置として、イランに追加制裁を科すと表明した。「軍事力は使いたくない」と述べ、報復攻撃には否定的な考えを示した。

 米軍の高い能力を誇示していたトランプ氏が、あえて経済制裁を選んだのは、攻撃の応酬が大規模紛争に発展する事態を避けたいからだろう。賢明な判断である。

 イランは、革命防衛隊の有力司令官が米軍に殺害されたことへの報復として、イラクの基地に弾道ミサイル十数発を発射した。

 イランが直接、米軍に軍事攻撃を仕掛けるのは、1980年代のイラン・イラク戦争の終結後、初めてだ。国民に英雄視されていた司令官の殺害を受け、イラン指導部は国内向けに強硬姿勢をアピールする必要に迫られていた。

 ミサイルは基地の駐車場などに着弾し、米国人の死傷者は出なかった。イラン外相は、報復措置が完了したと発信した。トランプ氏の怒りに油を注ぎ、全面衝突に陥ることがないよう、イラン側は周到に計算したのではないか。

 最悪の事態はひとまず免れたが、対立と衝突の火種は残る。

 イランは、イラクやレバノン、イエメンなどで、親イラン派の武装組織を支援し、中東での存在感を増している。これらの組織が米軍やイスラエル、サウジアラビアなどを攻撃し、再び緊張が高まることが懸念される。

 イラクでは、米国とイランが影響力を争う。イラクの親イラン勢力は、駐留米軍の撤退を求める。過激派掃討を担う米軍が撤退すれば、治安悪化は避けられない。

 そもそも、米イラン対立が激化した発端は、米国がイラン核合意から一方的に離脱し、対イラン制裁を復活させたことにある。

 2015年の核合意は、核兵器製造につながるイランのウラン濃縮を抑制し、国際原子力機関(IAEA)の監視下に置く点で一定の成果を上げてきた。合意に加わった英仏独中露の5か国は合意維持の必要性を強調する。

 トランプ氏は新たな核合意を結ぶべきだと主張するが、圧力強化でイランに譲歩を迫る戦術は行き詰まっている。日本や欧州諸国が仲介役として果たす役割は大きいはずだ。関係国との協議を深め、打開策を探ってもらいたい。

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993194 0 社説 2020/01/10 05:00:00 2020/01/10 05:00:00

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