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新型肺炎が終息する気配が見えず、インターネット上では真偽不明の情報が飛び交っている。正確な情報に基づき、冷静な行動を心がけたい。
世界保健機関(WHO)が新型肺炎に関する問答形式のウェブサイトを設けた。例えば「ニンニクを食べれば感染を防げるか」という疑問には、「新型ウイルスを防ぐ証拠はない」と答えている。
厚生労働省も同様のサイトを設けた。「潜伏期間は1日~12・5日とされる」「感染が疑われる場合には、保健所の相談窓口に問い合わせる」といった基本的な知識を得ることができる。
不安をあおる悪質なデマも目につく。ツイッターでは、「中国人が関西空港の検疫検査を振り切って逃走した」という投稿が拡散した。あいまいな情報に接したら、まず国や自治体など信頼できる情報源に確認することが大切だ。
米フェイスブックは、投稿内容の事実確認を始めた。グーグルも、WHOなどの公式情報が検索結果の上位に表示されるようにした。こうした対策は、偽情報の流布を防ぐ上で有効だろう。
懸念されるのは、新型肺炎に関連する、根拠のない差別が広がっていくことだ。
厚労省には「治療に当たる医療従事者の子供がいじめを受けた」などの相談が寄せられている。感染者を受け入れた宿泊施設で風評被害を心配する声もある。
新型肺炎の感染力は、未解明の部分はあるが、普通のインフルエンザと同程度との研究報告もある。体調管理や手洗いの徹底で、感染や重症化を防ぐ可能性が高まることを改めて確認したい。
マスクが品薄になり、値段がつり上がっていることも問題だ。個人売買のサイトでは、定価の何倍もの高値で取引され、消費者庁が、サイト運営会社などに適切な対応をとるよう要請した。
社会不安に乗じた買い占めや転売は厳に慎むべきだ。同時に、マスクメーカーは増産により安定供給に努めてもらいたい。
日本は現在、中国の武漢から世界に広がっている新型肺炎の感染者をできる限り国内に入れないよう注力している段階だ。患者は指定病院に入院させ、感染の拡大防止を図っている。
横浜港に入港したクルーズ船を長期間停泊させ、検疫を続けているのも、新型肺炎の封じ込めを狙った措置の一環だ。
不確定要素が多く、不安が高まっているだけに、政府には的確で丁寧な情報発信が求められる。