「5G」通信網 欧州は安全性の監視を怠るな

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 社会、経済の基盤である通信網の構築にあたっては、安全保障上のリスクも考慮しなくてはならない。中国企業への過度な依存の回避は、日米欧共通の課題と言えよう。

 高速・大容量通信を可能にする次世代通信規格「5G」事業を巡り、中国通信機器大手「華為技術」(ファーウェイ)製品の排除を求める米国と、容認に動く欧州主要国の温度差が際立ってきた。

 英国は、ファーウェイを念頭に「リスクの高い業者」について、5G通信網で情報を集約、処理する中核部分から排除することを決めた。一方で、周辺部分の基地局などでは、35%の市場占有率を上限に参入を認めるという。

 英国政府は、この措置で安全保障は損なわれないと強調する。米英豪、カナダ、ニュージーランドの5か国で軍事機密を共有する「ファイブ・アイズ」の枠組みにも悪影響はないとしている。

 だが、米国は同盟国に、ファーウェイの完全排除を求めている。英国が度重なる説得にも応じなかったことは痛手だろう。

 エスパー米国防長官は、ミュンヘン安全保障会議で、欧州各国に対し、「中国の5G業者に依存することは、情報共有の能力、ひいては同盟関係を危険にさらす」と強い口調で警告した。

 米国は、中国政府がファーウェイなどの中国企業を通じて、各国の機密情報を窃取することを警戒している。中国政府と企業の不透明な関係を踏まえれば、「ファーウェイ包囲網」の形成を求める米国の姿勢は理解できる。

 欧州では、英国に加え、フランスなどもファーウェイを排除しない方針を示す。すでに、製品が欧州各国の4G通信網で広く使われているうえ、巨額の投資や貿易など、中国との経済関係を重視しているのだろう。

 欧州諸国は地理的に遠い分、中国を深刻な脅威とみなさず、米中両国の間でバランスをとる傾向も目立つ。欧州はファーウェイを排除しないのなら、通信網の安全性の監視を怠ってはならない。

 日本は米国と足並みをそろえ、政府調達からファーウェイを事実上排除している。政府の方針を受け、通信大手はファーウェイ以外の製品による5G通信網の構築を進めるが、出遅れは否めない。

 中国主導の「5G秩序」を阻止する一方で、日本の5G網をどう整備していくのか。政府は、日本企業の研究開発を支える政策や税制上の優遇措置など、長期的な戦略が求められる。

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1066077 0 社説 2020/02/22 05:00:00 2020/02/22 05:00:00

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