違法薬物の密輸 態勢強化で確実に摘発したい

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 覚醒剤など違法薬物の密輸が、深刻さを増している。人的、物的な態勢を拡充し、摘発を強化しなければならない。

 全国の税関で昨年、押収された違法薬物は、約3・3トンで過去最多となった。このうち覚醒剤は約2・5トンで、8566万回分もの使用量に相当する。ゆゆしき事態と言える。

 覚醒剤の密輸の典型例が、一度に大量の薬物を洋上で取引する「瀬取り」である。昨年6月には、静岡県南伊豆町に着岸した小型船から約1トン、12月には熊本県天草市にえい航された漁船から約590キロが押収された。

 瀬取りの摘発には、不審な船の出入りなどの情報収集が重要だ。税関当局は漁業関係団体と協力して、監視を強めてもらいたい。

 近年は、航空機や国際郵便物を利用した小口の密輸も目立つ。

 成田空港では、タイからの格安航空会社便を使った密輸が相次いで摘発された。小分けした覚醒剤を複数人で運ぶ手口だ。密輸組織が多数の運び屋を現地で雇い、ツアー客に紛れ込ませて日本に持ち込ませているという。

 チューブ型のボディークリームに覚醒剤を練り込んだり、入浴剤やカップ麺の粉末スープに見せかけたりして、国際郵便や航空貨物で送られてくるケースもある。

 手口が巧妙化する密輸に対処するためには、水際の検査を徹底することが欠かせない。

 税関当局は4月以降、空港や港湾に、高性能の検査機器を増設する。液体に溶けた違法薬物を探知する装置や、手荷物の中身を3D画像で解析できるX線CT検査機器などだ。担当職員の検査能力も向上させる必要がある。

 警察庁によると、国内の覚醒剤事件の摘発者数はここ数年、年1万人前後と高止まりしている。

 覚醒剤を使用すると心身がむしばまれ、さらなる犯罪を引き起こすリスクが高まる。取引の多くに暴力団が関わり、その収益が活動を支える資金源にもなっている。

 薬物犯罪を抑止するため、国内外の警察や税関当局が緊密に連携し、密輸による覚醒剤の供給ルートを断つことが大切である。

 海外から密輸されるのは、違法薬物だけではない。今夏には、東京五輪・パラリンピックが開催される。テロ防止の観点から、爆発物や武器の持ち込み、不審人物の入国を防ぐことが課題となる。

 大量の画像情報をAIに学習させ、疑わしい荷物をX線検査で見分ける実証実験も始まった。新技術を着実な摘発につなげたい。

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1074354 0 社説 2020/02/27 05:00:00 2020/02/27 05:00:00

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