首相記者会見 感染拡大防止へ態勢立て直せ
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感染症の拡大防止に向けて、政府の結束が求められる局面である。安倍首相は指導力を発揮しなければならない。
首相は、新型肺炎に関して初めて記者会見し、「国民の命と暮らしを守る責任を果たす」と述べた。必要な対策を
新型コロナウイルスは未解明な部分が多いとはいえ、安倍内閣のこれまでの対応は戦略性を欠いていたと言わざるを得ない。
クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客の検疫に忙殺され、国内の対策は後回しになったとの批判が出ている。
2月25日に決めた基本方針には、大勢が集まるイベントについて、全国一律の自粛要請は行わないと明記していたが、翌日には首相が「2週間の中止、延期または規模縮小」を要請した。
学校の休校についても、文部科学省は当初、自治体の判断に委ねていたが、首相は27日、一斉休校を要請する考えを表明した。
大勢の子供たちが集まる学校は、感染が広がりやすい。一律の休校は危機管理としてありうる。だが、唐突な方針転換で、学校関係者や保護者に混乱が広がった。
首相は「子供たちの集団感染は防がなければならないとの思いで決断した」と述べたが、調整不足だったのは否めまい。
急務なのは、学校の休校で影響を受ける保護者らに対し、十分な支援策を講じることだ。
政府は、パートなどで働く親が休んだ場合の収入減を補うため、新たな助成金制度を創設する方針だ。子供を預かる学童保育が機能するよう、政府として財政的に後押しする。早急に制度の詳細を詰める必要がある。
感染症対策は総力戦となる。首相は政府の態勢を立て直し、自治体や医療機関との意思疎通を深めなければならない。自治体側も政府の判断を尊重し、足並みをそろえる姿勢が求められよう。
首相は国政のトップとして、国民に直接語りかけ、理解を求める機会を増やすべきではないか。
今後の感染者の増加に備え、医療提供体制を着実に強化することが肝要だ。首相は、重症患者向けのベッドを確保し、治療薬の開発を急ぐ考えを示した。検査能力を高めることも欠かせない。
政府は、感染症対応で立法措置を検討している。感染が広がった地域を対象に、外出の自粛などを求められるようにする狙いとみられる。早期成立に向け、野党にも協力を呼びかけるべきだろう。