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新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、マスクだけでなく、トイレットペーパーやティッシュペーパーも全国的に品薄になっている。官民挙げて正常化を急がねばならない。
トイレットペーパーなどについて、「マスクと原料が同じ」「中国から輸入できなくなる」といったデマがSNSで拡散したのが、騒動のきっかけとなった。
いずれも事実に反する。原料は異なり、大半は国産だ。在庫も十分という。信頼できる情報源で確かめて冷静に行動してほしい。
SNSでは、空になった商品棚の写真が次々とアップされる。それを見てデマを信じていない人も購入に走る。そのあおりで、地域によってはオムツや米、即席麺なども手に入りにくくなった。
不安が増幅していく「負の連鎖」を断ち切るには、品薄の解消に最優先で取り組む必要がある。
特にトイレットペーパーは生活必需品だ。現在は多くの店で開店前から行列ができ、入荷してもすぐ売り切れてしまう。これでは業界団体がいくら「在庫はある」と呼びかけても安心できまい。
製紙会社は在庫をできる限り放出し、増産にも取り組むべきではないか。政府には円滑な配送を支援することが求められる。
一方、増産しているはずのマスクや消毒用アルコールの不足も一向に解消されない。より深刻な事態である。医療用マスクでさえ病院に十分行き渡っていない。改善は急務と言えよう。
政府は、国民生活安定緊急措置法に基づいて、マスクを製造業者から買い取り、北海道の自治体に届ける方針を示した。
この法律は1973年の第1次オイルショック時に制定された。当時、トイレットペーパーなどが買い占められたことから、生活に不可欠な物資を安定的に供給し物価の高騰を抑える狙いだった。
マスクや消毒用アルコールの不足を早期に解消するには、民間任せでは限界がある。同法のさらなる活用は検討に値する。
消費者には節度ある対応が求められる。買い占めや転売目的の購入は慎むべきだ。
病院や介護施設の関係者など、優先度の高い人にきちんと届くようにしなければならない。この時期は花粉症で苦しむ人も多い。
品薄の商品が、ネット上で非常に高い値段で売られているのも見過ごせない。通販やオークションのネット運営事業者は、社会通念上、問題がある出品については、直ちに削除すべきだろう。