五輪1年延期 開催実現へ手立てを尽くそう

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 ◆経済悪化を防ぐ目配りが必要だ◆

 世界的なスポーツの祭典の実現に向けて、あらゆる手立てを講じていくことが求められよう。

 今夏の東京五輪・パラリンピックについて、安倍首相は国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長と電話で会談し、1年程度延期して開催することで合意した。IOC臨時理事会も承認した。

 電話会談は日本政府から打診した。早期に方向性が示されないと中止論が出かねないとの危機感があったのだろう。

 ◆感染抑止策に全力を

 安倍首相は1年程度の延期を提案し、同意を取り付けた。自身の自民党総裁任期中の開催が可能になったと言える。

 新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。五輪開催を目指すには、まずは世界各国が協力して治療薬の開発などにあたり、沈静化を図らねばならない。

 特にホスト国となる日本は、首都・東京を中心に感染抑止対策を徹底する責任がある。海外の選手や大会関係者、観客が安心して日本を訪れられるように、医療・防疫体制を整えるべきだ。

 世界の選手たちは、ウイルスの感染拡大に伴い、練習や試合に様々な制約を受け、不安な日々を過ごしてきた。中止ではなく延期という形で開催のめどが示されたことは、多くの選手に歓迎される結果と言えるのではないか。

 選手たちには気持ちを切り替えて、新たな目標に向かって努力を続けてもらいたい。

 すでに日本代表に内定した選手は100人を超える。卓球では、男女計6人の代表を代えない方針だが、競技によっては選考のやり直しが検討課題に上っている。

 ◆選手のサポート万全に

 1年の延期により、体力面などに影響が出る選手もいるだろう。コンディション作りのサポートが欠かせない。選考をやり直す場合には、選手の理解を十分に得た上で、公正で透明性のある手続きを踏むことが不可欠である。

 当面の課題は、新たな大会日程を確定することだ。

 来年の7、8月は、水泳と陸上の世界選手権の開催と重なる。世界陸連は、五輪が1年延期された場合に「日程を変更する用意がある」との声明を発表した。IOCは各競技団体と十分協議し、日程の調整に努めてほしい。

 日程が固まった場合、五輪の試合会場を確保し直す必要がある。来年の利用の予約がすでに入っている施設は少なくない。

 大会組織委員会は五輪開催の意義を改めて説明し、会場確保に協力を求めていかねばならない。確保できない時には、会場の変更も視野に入れるべきだろう。

 一方で、完成した国立競技場などの施設については、五輪開催までの期間に、可能な範囲でスポーツ大会などに活用することを検討してもいいのではないか。

 延期に伴い、新たな費用が発生することが予想される。

 大会経費は組織委、東京都、政府の3者で合わせて1兆3500億円に上る。競技に使用予定だった複合施設のキャンセルによる違約金が発生する可能性がある。

 組織委の職員は、今夏の開催を前提に省庁や企業から集められている。任期を延長したり改めて出向者を確保したりする場合には、新たな人件費が要る。

 販売済みのチケットは数百万枚に上る。チケットの取り扱い如何いかんでは、払い戻しを検討しなければならない場面も出てこよう。

 ◆懸念される追加負担

 追加経費について、東京五輪の計画書類では、組織委が資金不足の場合には都が負担し、それでもカバーできなければ政府が補填ほてんすることになっている。3者は協議を重ねて解決策を見いだす努力を惜しまないでほしい。

 五輪の延期が日本経済に及ぼす影響も懸念される。

 今夏に予定した観客がいなくなることで、観光業やサービス業、グッズの販売など幅広い業者が打撃を受けるのは避けられない。

 最大2兆円と見込まれた五輪開催による経済の押し上げ効果が、2021年度に先送りされるとの試算も出ている。

 ウイルスの感染拡大の影響に、五輪開催延期のダメージが重なることにより、景気の減速に拍車がかかりかねない。

 政府は20年度当初予算案の成立後、大規模な経済対策を打ち出す方針だ。家計に対する支援や企業への助成といった景気の下支え策が中心となる。

 多くの企業が事業縮小や倒産に追い込まれないよう、しっかり目配りすることが重要だ。

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1129146 0 社説 2020/03/26 05:00:00 2020/03/26 05:00:00

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