景気判断下げ 大胆な対策で雇用を守りたい

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 日本経済に新型コロナウイルスが大きな打撃を与えている。政府は厳しさを増す景気動向を的確に見極め、有効な対策を講じるべきだ。

 政府が3月の月例経済報告で、景気判断を前月までの「緩やかに回復している」から「厳しい状況にある」に下方修正した。訪日外国人客の急減や外出・イベントの自粛などで経済活動は停滞している。判断の変更は妥当である。

 個別項目では、個人消費が約3年ぶりに引き下げられ、「弱い動き」となった。設備投資や企業収益なども下方修正された。下押し圧力が幅広い分野に波及していることがうかがえる。

 主な経済指標から機械的に算出される景気動向指数は、2019年8月から景気の「悪化」を示している。19年10~12月期の実質国内総生産(GDP)も、消費の低迷が響き、年率で7・1%減と大幅なマイナス成長だった。

 ウイルス感染拡大の影響が広がる前から、景気は後退しつつあったのではないか。

 それでも政府は、先月まで7年近くにわたって、景気判断に「回復」という表現を使っていた。

 楽観的な認識は政策対応の遅れにつながる。景気は今後、急速に悪化する恐れがある。政府は危機感を強めるべきだ。

 問題は、外出や渡航の制限が世界に広がり、モノやサービスの消費が一気に落ち込んでいることである。08年のリーマン・ショック後に起きた世界的な「需要の蒸発」の再来が現実味を帯びてきた。

 国際通貨基金(IMF)は、世界経済が20年にマイナス成長となり、リーマン・ショックと同程度か、それよりも深刻な景気後退になるとの見方を表明した。

 国内でも、トヨタ自動車が工場の一部を止めるなど、世界の需要低迷による減産が始まった。企業業績が悪化して雇用や所得を押し下げ、消費などが更に冷え込む悪循環に陥る懸念もある。

 政府は景気の落ち込みを抑える大胆な対策を急いでほしい。

 特に重要なのは、国民生活の基盤である雇用を守ることだ。官民の金融機関が連携して中小企業の資金繰りを支え、倒産による失業の急増を避けねばならない。

 従業員を解雇せず、休業にとどめた企業に支給する雇用調整助成金を拡充したい。非正規雇用への適用条件も緩和すべきだ。

 非正規雇用者は、労働者全体の約4割を占める。「派遣切り」が社会不安を招いた過去の教訓を忘れてはなるまい。

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1131007 0 社説 2020/03/27 05:00:00 2020/03/27 05:00:00

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