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新型コロナウイルスの感染が、介護現場にも広がっている。
名古屋市や兵庫県伊丹市、千葉県市川市の施設で感染が確認された。
高齢者が日帰りで食事や入浴のケアを受けるデイサービスなどの介護施設は、様々な人が出入りするため、感染拡大の場になりやすい。高齢者は感染すると重症化のリスクが高い。
高齢者の命を守るため、施設の衛生管理の徹底が欠かせない。利用者や職員の検温や、室内の換気はもちろん、機能回復訓練やレクリエーションを行う際に密集を防ぐ細心の注意が必要だ。
複数の施設の利用者やその接触者で60人以上の感染者が出た名古屋市は3月上旬、市内の施設に対して、2週間の休業を要請した。感染拡大を食い止めるための緊急的な措置だろう。
ただ、休業は、身の回りのことを自分でできない高齢者にとっては死活問題だ。体を動かす機会が減ったり、生活リズムが変わったりすることで、体調を崩す恐れもある。サービスを利用できず、家族の負担は重くなる。
名古屋市では休業要請後も、介護の必要性が高い対象者に絞ってサービスを続けた施設があった。職員が利用者の自宅を訪問したり、電話で状態を確認したりした施設もみられた。
利用者や家族の事情を踏まえた対応と言えよう。高齢者を支援する地域のケアマネジャーらが複数の介護施設と連絡を取り合い、可能な限り、代替サービスを確保することが大切である。
今後、介護施設で大規模な感染が発生した場合などには、地域の介護施設の休業が長期に及ぶケースも想定される。休業による経営悪化で施設が閉鎖に追い込まれれば、地域の介護サービスが成り立たなくなってしまう。
従業員の雇用を維持した会社に雇用調整助成金を支給する制度は介護施設にも適用される。こうした仕組みを周知し、介護施設をサポートすることが重要だ。
施設の休業に伴い、家族の介護のために出社できない人も出てこよう。介護休暇やテレワークの活用など、企業側には柔軟な対応が求められる。
千葉県の障害者福祉施設では、入所者と職員の集団感染が明らかになった。入所型の施設では、感染が一気に広がりやすい。
特別養護老人ホームでは面会制限などの対策を講じている。外部からウイルスを侵入させないよう、改めて警戒すべきだ。