危機下の指導者 コロナ対応で何を語るべきか

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 新型コロナウイルスとの戦いは長期化が避けられない。適切な措置をどのように打ち出し、住民の理解と協力を得ていくか。世界の政治指導者が模索を続けている。

 国や自治体のトップは、人々の生命と安全を守る責任を担う。感染拡大を食い止める施策が最重要であることは言うまでもない。

 多くの国や自治体で経済・社会活動を制限する厳しい措置がとられている。民主主義国家において実効性を高めるには、住民にその必要性を認識してもらい、外出自粛や在宅勤務の動きを広めていくことが欠かせない。

 強制力を伴う都市封鎖などの強い措置であればなおさら、指導者が科学的知見に基づく正しい情報を伝え、人々を説得できるかどうかがカギを握る。

 米ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は連日の記者会見で感染状況や必要な病床数などのデータを詳細に説明する。外出制限の解除を1年半かけて段階的に実施する方針を示すなど、深刻な見通しも率直に明かしている。

 米国は感染者数が世界最多で、死者はニューヨーク州に集中している。それでも、州内の世論調査ではクオモ氏への支持は高い。

 州の対応の正当性について評価を下すのは時期尚早だが、都合の悪い情報を隠さず、人間味のある発信を続けていることが、一定の信頼を生んでいるのだろう。

 ドイツのメルケル首相は、派手さとは無縁の実直な呼びかけで、国民に理解を求めている。

 3月の演説では、国境の一部閉鎖措置について「こうした制限は絶対に必要な場合にだけ正当化される」と語った。例外的な対応であることを強調したのは、西側への移動が制限された旧東ドイツで自らが育った経験からだ。

 メルケル氏はすでに首相退任後の政界引退を表明している。政治的な思惑を離れて危機対応に専念できるのは強みではないか。

 不安や緊張にさらされている人々に励ましのメッセージを送り、社会の混乱を防ぐことも、危機下の指導者には求められる。

 シンガポールのリー・シェンロン首相は感染拡大が始まった2月の段階で、「恐怖はウイルスより有害だ」と語りかけていた。インターネットでのデマ拡散や、食料品などの買い占めをいち早く警告し、国民を鼓舞した。

 トランプ米大統領や安倍首相も日々、感染拡大防止策や経済対策の発信に腐心している。国民の目にはどう映っているだろうか。

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1174425 0 社説 2020/04/19 05:00:00 2020/04/19 05:00:00

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