こどもの日 将来の夢を語り合う時間に
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端午の節句の5月5日が国民の祝日に制定されてから、72回目の「こどもの日」を迎えた。子供の健やかな成長と幸福を願う日としたい。
例年なら、大型連休の中の一日として、行楽地や帰省先で楽しんでいた家庭が多いだろう。だが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、外出自粛が呼びかけられている。
家族で遠くに出かけることは難しいが、自宅で過ごす時間はたっぷりある。ここは、子供の夢や将来について思いを巡らし、語り合ってみてはどうだろう。
最近、「エッセンシャル・ワーカー」という言葉を耳にするようになった。英語で「不可欠な」を意味するエッセンシャルと「労働者」のワーカーを組み合わせたものだ。医療、物流、介護、保育などの従事者を指している。
こうした人たちは、感染が広がりを見せる中で、患者の命を救うため、あるいは、大切な物資を届けるため、昼夜を問わず懸命に働いている。非常時の国民生活を支えていると言えよう。
第一生命保険が保育園・幼稚園児と小学生に「なりたい職業」を尋ねた調査では、女の子の上位に、保育園・幼稚園の先生や看護師がランクされている。
今回のコロナ禍は、漠然とした憧れだった仕事を、子供たちが現実のものとして受け止めるきっかけになるのではないか。
男の子のなりたい職業の上位には、サッカー選手や野球選手が並ぶ。残念ながら、現在は試合が開催されていないが、多くのプロ選手が、自宅でできるトレーニングの動画などを公開している。
それらを見ながら、自分でも体を動かしてみれば、夢にほんの少し近づけるかもしれない。
親子の話の糸口になりそうな素材もある。例えば、作家の村上龍さんが著した「13歳のハローワーク」の公式サイトを見てみると、約6000人の大人が様々な職業を紹介している。
父親や母親が、息子や娘に自らの仕事について語ることも大切だ。いつ頃から志したのか。どんなところにやりがいを感じるのか。話す一言一言が、子供の考えるヒントになるだろう。
このところ、在宅ワークに携わる親の姿を目にしてきた子供は多い。学校の授業では学べないものを感じ取った子もいるはずだ。
「あの時は大変だったが、貴重な時間になった」。後に人生を振り返った際、そう思い出せるようなこどもの日になるといい。