国際防疫体制 台湾の知見を共有すべきだ

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 感染症の封じ込めは、世界全体で取り組むべき課題である。台湾が国際的な防疫体制から閉め出されている現状を改めなければならない。

 世界保健機関(WHO)の年次総会が、新型コロナウイルスの感染拡大後、初めて開かれた。非加盟の台湾はオブザーバーでの参加を求めたが、認められなかった。不参加は4年連続になる。

 日米など10か国以上が台湾参加を支持したが、中国は台湾が「疫病に乗じて独立を画策している」として反対した。防疫対策に政治問題を持ち込むのは筋違いだ。

 台湾は新型コロナ対応で、感染者数、死者数ともに低い水準に抑え込んだ。2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)を教訓に、入域制限を迅速に打ち出したことが奏功した。

 専門家を重用したきめ細かい情報発信や、合理的なマスク流通システムは国際的にも大きな関心を呼んだ。WHO総会で台湾の知見を共有する意義は、これまで以上に大きかったのではないか。

 米国は「WHOのテドロス事務局長が中国の圧力を受けて、台湾参加を見送った」と主張する。トランプ大統領は米国のWHO脱退や資金拠出停止までちらつかせ、WHOに改革を迫った。

 トランプ氏の強引な手法に問題は多いが、WHOのあり方に疑念が高まっているのは確かだ。

 WHO憲章は、すべての人が、人種や宗教、政治信条などで差別されることなく、最高水準の健康を享受する権利を強調している。台湾の排除は、この基本的な理念にもそぐわない。

 テドロス氏は批判を重く受け止め、台湾の次回総会参加に向けて指導力を発揮する必要がある。

 問題の抜本的な解決には、中国と台湾の緊張緩和が不可欠だが、その糸口は見えない。

 台湾の蔡英文総統は2期目に入った。20日の就任演説で、中国が求める「一国二制度」の受け入れを改めて拒否し、中国に対等な立場での対話を呼び掛けた。

 中国はこれまでも蔡政権との政治対話を拒否している。事態の打開は容易ではあるまい。

 蔡氏は、東南アジアとの経済関係を強化する「新南向政策」に加え、他地域でも潜在的な市場の開拓を進める方針を示した。台湾の輸出の3割近くを中国向けが占める現状を変える狙いがある。

 中国に過度に依存した経済構造を見直しつつ、台湾周辺地域の安定をどう実現するか。蔡氏には難しいかじ取りが求められる。

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1231531 0 社説 2020/05/21 05:00:00 2020/05/21 00:36:30

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