関西圏宣言解除 警戒緩めず東京も収束目指せ
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新型コロナウイルスの感染の勢いは、ひとまず弱まっている。月末に向け、緊急事態宣言の全国解除を目指したい。
政府は、大阪、京都、兵庫の解除を決めた。3府県の感染は落ち着いている。1週間の新規感染者数が10万人当たり0・5人程度を下回るという目安に沿った妥当な判断だろう。
東京と神奈川、北海道はこの基準に届かなかった。人の往来が激しい首都圏は一体として判断する必要があり、千葉と埼玉を合わせた5都道県は継続となった。
安倍首相は、感染者の減少傾向が続けば週明けにも全面解除が可能だとの考えを示した。
政府が4月に緊急事態を宣言して以降、社会全体で感染抑止策に取り組んできた。その成果が表れてきたのは間違いない。
解除に伴って社会活動を一気に広げれば、再び感染者が増えるのは必至だろう。段階的な再開を探ることが大切である。
大阪府は、宣言解除を受けて、テーマパークやボウリング場の営業再開を認める。
大阪府の吉村洋文知事は「感染症対策を取りながら、社会経済活動を徐々に戻していく」と語った。業界団体の運用指針に基づき、クラスター(感染集団)の発生を防ぐことが重要だ。
新規の入院者が減少したことで、病床には余裕が生まれつつある。軽症者向けの宿泊施設にも空きが出ている。重症者の手当てができなくなるような最悪の危機は当面、遠のいたのではないか。
院内感染を恐れて病院の受診者が減り、緊急でない手術などは先延ばしされている。医療現場は、状況を見ながら通常の診察体制に戻していくことになろう。
並行して、感染拡大の第2波、第3波への備えも怠ってはならない。患者が再び増えた場合には、医療体制を新型コロナ対応に切り替えることが欠かせない。医療機関や自治体がその計画をあらかじめ定めておく必要がある。
院内感染を防ぐための施設の改修なども、着実に実施することが求められる。政府は、財政的な支援策を検討すべきだ。
新型ウイルスの感染の実態はなお不明な点が多い。水面下で感染が持続していくことは避けられまい。海外ではまだ流行が収束していない国も多く、ウイルスが国内に流入する可能性がある。
再流行の兆候をいち早く察知することが肝要だ。政府は、PCR検査の拡充など監視体制を強化しなければならない。