新興国経済 資金流出による通貨危機防げ

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 感染症拡大への不安を背景に、リスクの高い投資を手控える動きが広がり、新興国から資金が流出している。

 国際通貨基金(IMF)によると、コロナショックによる流出額は約1000億ドル(約11兆円)に達する。スピードは、2008年のリーマン・ショック時を大きく上回るという。

 大幅な通貨安に見舞われた国も目立つ。通貨危機に発展させないことが何よりも重要だ。

 ブラジルの通貨レアルは今年に入り対ドルで3割下がった。債務危機のアルゼンチンだけでなく、トルコや南アフリカも状況は厳しい。各国は感染抑止と経済・金融の安定化に万全を期すべきだ。

 自国の通貨安は一般的には輸出産業へ有利に働くが、下落し過ぎると輸入物価が急騰し、高インフレを招く恐れがある。ドル建てなど対外債務の返済負担も膨らみ、経済の悪化に拍車がかかる。

 典型的だったのが、1997年のアジア通貨危機である。

 タイの通貨バーツの暴落を引き金に、インドネシアや韓国からも投資資金が流出し、アジア経済の成長に急ブレーキがかかった。

 日本では株価が大きく下落し、その後の金融不況を深刻化させる一因となった。影響はロシアやブラジルなどにも飛び火した。

 グローバル化が進み、各国の経済や金融市場のつながりは、より深まっている。新興国の混乱が、減速する世界経済に追い打ちをかける事態は避けねばならない。

 IMFは苦境に陥った国への金融支援を担う。今回、アフリカの途上国などに緊急融資した。今後は、規模の大きな新興国を含め、さらなる支援が求められる。

 主要国の役割も大きい。

 日米欧に中国などを加えた主要20か国・地域(G20)の枠組みができたのは、アジア通貨危機がきっかけだった。リーマン・ショックでその重みは増した。

 だが、G20は米中両国の激しい対立を抱え、結束が揺らいでいる。各地では医療物資や食料の輸出制限も広がる。危機の防止こそ、G20本来の役割であるはずだ。

 感染がピークを越えたように見える先進国とは対照的に、新興国の多くで広がり続けている。脆弱ぜいじゃくな医療体制が一因だろう。

 コロナへの対応は世界共通の課題である。各国の経験と知見を共有し、感染の第2波、第3波に備えることが大切だ。保護主義的な動きを抑えつつ、ワクチンの開発や供与などで連携できるのか。G20の存在意義が問われている。

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1237539 0 社説 2020/05/24 05:00:00 2020/05/24 05:00:00

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