宇宙の監視 抑止力強化へ知見を高めよ

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 宇宙の安全保障環境の変化に備え、政府は態勢を整えねばならない。

 防衛省が、航空自衛隊に「宇宙作戦隊」を約20人で発足させた。宇宙分野を専門とする初の部隊で、宇宙ごみや、他国の衛星の動向を監視する任務を担う。2023年度までに100人規模に増強する。

 宇宙では、大国間の軍事的な競争が激化している。

 中国やロシアは、他国の衛星を攻撃するキラー衛星の開発を進める。地上からミサイルを発射し、自国の衛星を破壊する実験も行った。衛星を活用する米国のミサイル防衛システムなどに対抗する狙いがあるのだろう。

 自衛隊は、米軍の早期警戒衛星の情報を頼りに北朝鮮のミサイルに備えている。自衛隊単独でも、様々な部隊間の連絡や運用の調整のため、通信衛星を活用する。

 攻撃を受けて衛星が使えなくなれば、ミサイル警戒網や最新鋭の戦闘機などの運用に大きな支障が出かねない。宇宙空間における抑止力の強化は急務である。

 防衛省は、山口県にレーダーを配備し、23年度から運用する。人工衛星を26年度までに打ち上げることを目指す。上空と地上の双方から、キラー衛星の接近などを警戒する仕組みだ。

 任務の具体化に合わせ、作戦隊を増強する必要がある。専門人材の育成に注力すべきだ。

 宇宙の脅威に対処する上では、米国との連携が重要となろう。トランプ政権は昨年、約1万6000人で宇宙軍を創設した。中露の最新鋭兵器を迎撃するための人工衛星網の配備を計画している。

 日米で情報を共有する仕組みを整えねばならない。米国の衛星が故障した際に、日本の衛星が機能を代替するといった取り組みも検討に値しよう。人的交流を欠かさず、同盟の協力を深めたい。

 日本は長年、宇宙の平和利用を掲げ、防衛分野の活用を制限してきた。08年に宇宙基本法を制定し、安保での利用に道を開いた。中期的な視点から、対処能力を向上させることが大切だ。

 宇宙空間では、使用済みのロケットやその破片など宇宙ごみが増えている。運用中の人工衛星が衝突し、機能を失うことが懸念される。人工衛星や宇宙ごみの動向を把握することが欠かせない。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、レーダーや光学望遠鏡を活用し、様々な商用衛星や宇宙ごみの接近状況を解析するシステムの整備に着手している。自衛隊と知見を共有してもらいたい。

無断転載・複製を禁じます
1238751 0 社説 2020/05/25 05:00:00 2020/05/25 05:00:00

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

新着クーポン

NEW
参考画像
2000円1900円
参考画像
ランチでご来店のお客様にジェラートをサービス
参考画像
アクティビティご利用でソフトドリンク1本サービス

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ