緊急事態解除 経済を回復軌道に乗せたい

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◆感染症に強い社会を構築せよ◆

 新型コロナウイルスへの警戒はなお怠れない。再流行に備えて、医療や検査体制を強化しつつ、経済を回復軌道に乗せていくことが大切だ。

 政府が、5都道県で継続していた緊急事態宣言を解除した。改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づき、先月7日に7都府県に発令して以来、約1か月半ぶりの全面解除である。

 ◆病床数に一定の余裕

 1週間の新規感染者数が10万人当たり0・5人程度を下回る、という解除の目安に届かない自治体はあるが、各地の感染者数は減少傾向にあり、逼迫ひっぱくしていた病床数にも余裕ができた。

 住民の協力による感染防止策が一定の成果を上げたと言える。

 安倍首相は記者会見で、「新しいやり方で日常の社会経済活動を取り戻していく」と述べた。

 政府は、経済活動を再開する指針で、段階的に外出の自粛を緩和することや、イベントの開催を容認する方針を示した。

 コンサートなどには入場者数の上限を設け、まずは屋内で100人、屋外は200人とし、3週間ごとに拡充していく。

 有効なワクチンや治療薬の開発には時間がかかる。企業の活動を長期間にわたって制約すれば、経済への打撃は大きくなる。感染防止に注意を払いながら、着実に社会や経済の活動を再開していくことが重要だろう。

 多くの業界団体は、事業再開の指針を示している。政府と産業界が協力し、業態や店舗の規模などに応じ、適切な対策を講じていくことが欠かせない。

 都道府県をまたぐ移動は、5月末まで避けるよう求めた。5都道県と他府県との移動は6月中旬まで控えてもらう。感染状況を見極める必要があるとの考え方だ。

 密閉、密集、密接など集団感染が起きやすい機会を避けることが基本である。政府は、マスク着用や身体的距離の確保の重要性を周知していかねばならない。

 過去の感染症は、第2波の方が大きな被害をもたらすことがあったという。首相は、再流行の兆候がみられた場合、躊躇ちゅうちょなく宣言を再発令すべきだろう。

 肝要なのは、感染症に耐性のある社会を築いていくことだ。

 オンラインでの買い物や、テレワークが普及している。企業は、こうした社会の変化を的確にとらえ、新たな事業の展開を視野に入れねばならない。

 電機メーカーがクリーンルームを活用し、マスクや医療器具の製造を始めた。技術を生かし、危機を乗り越える必要がある。異業種との連携も進めるべきだ。

 ◆検査強化で流行監視を

 新型ウイルスの流行は医療現場に前例のない対応を強いた。入院患者は4月、全国で約1万人を数えた。感染症指定医療機関の病床数は約2000床しかなかったが、自治体が一般病院を含め、約1万8000床を確保した。

 今後は、多くの病院で病床を一般用に戻していくことが想定される。再流行時には迅速に感染症病床に切り替える、といった弾力的な対応を検討してもらいたい。

 都道府県を中心に、危機時の行動計画をあらかじめ策定しておくことが不可欠となる。

 感染の有無を判定するPCR検査は一時、検査能力が感染者の増加に追いつかず、滞った。感染状況を監視するための体制の充実は急務である。PCRより早く結果が出る「抗原検査」も、積極的に活用していくべきだ。

 無症状の感染者がおり、感染の全体像は分かっていない。血中の抗体を調べて、感染歴を確認する「抗体検査」も注目される。感染の広がり具合を推定できるようになり、地域ごとの対策を考える上で役立つだろう。

 ウイルスとの戦いが長く続くことを考えれば、政府や自治体はこれまでの対策を検証し、次の流行に備えることが求められる。

 ◆入国制限の緩和も論点

 医療や雇用への対応を厚生労働省が担い、経済対策を経済産業省などが主導している。省庁の縦割りを排し、政府の司令塔機能を強化すべきではないか。

 入国制限をいつから緩和していくかは、今後の大きな論点だ。欧米や新興国などは、流行が落ち着いたとは言えない。一方、訪日外国人客が激減し、飲食店や旅館などは深刻な打撃を受けている。

 中国と韓国は、まずビジネス目的での入国制限を互いに緩和することを日本に打診している。

 各国の感染の実態や、日本国内の受け入れ環境を考慮し、慎重に判断しなければならない。

無断転載禁止
1240958 0 社説 2020/05/26 05:00:00 2020/05/26 05:00:00

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