戦没者遺骨収集 鑑定体制の強化で信頼回復を

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 戦没者遺骨収集事業の実施体制を立て直し、失われた信頼を取り戻さなければならない。

 ロシア・シベリアとフィリピンから日本人以外の可能性がある遺骨が持ち帰られていた問題で、厚生労働省は遺骨鑑定の体制強化を柱とする再発防止策をまとめた。

 厚労省の専門家チームが検証した結果、1999年以降に両地域で収集された440柱は日本人の可能性が低かった。このうち、199柱は、身元不明の日本人戦没者の遺骨をおさめる千鳥ヶ淵戦没者墓苑に安置されていた。

 日本人遺族はもちろん、誤って千鳥ヶ淵に葬られた外国人と遺族にも礼を失する。あまりにもずさんな対応と言わざるを得ない。

 収集事業は、国の命令で戦地に赴き、命を落とした人の遺骨を遺族に返すのが目的だ。それゆえ、2016年には遺骨収集を国の責務と定めた戦没者遺骨収集推進法が成立している。取り違えはあってはならないことである。

 再発防止策の一つが、持ち帰った全ての遺骨について日本人かどうか調べるDNA鑑定と、身元特定の鑑定を両方行うことだ。

 これまでは大学などに委託して鑑定を実施してきたが、厚労省内にも鑑定を専門に行う組織を新設する。外部の専門家を非常勤職員に登用する見通しだ。日本人の可能性が低い遺骨は、原則として相手国に返還する。

 鑑定技術の向上を図る対策も盛り込まれた。国内の大学や研究機関との技術協力に加え、米国で遺骨収集を専門的に行う国防総省捕虜・行方不明者調査局などとも情報交換を進める。

 取り違えを防ぐには、科学的知見の重視が欠かせない。厚労省は新たな鑑定や技術協力の体制を早急に整える必要がある。

 今回の問題では、厚労省の無責任な体質も浮き彫りになった。

 DNA鑑定の専門家が05年以降、再三取り違えの疑いを指摘していたのに、歴代担当者は事実上、放置し続けた。組織としての情報共有や引き継ぎも不十分だった。厚労省が、当時の担当幹部ら11人を厳重注意としたのは当然だ。

 厚労省は今後、外部の有識者による会議に事業の実施状況を定期的に報告する。ミスや不祥事などの情報も開示し、批判を真摯しんしに受け止める姿勢が求められる。

 第2次世界大戦の海外戦没者約240万人のうち、約112万人は今も現地に眠る。国は高齢化する遺族の思いを受け止め、着実に事業を実施すべきである。

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1245183 0 社説 2020/05/28 05:00:00 2020/05/28 05:00:00

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