京アニ放火逮捕 事件の重さに向き合わせよ

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 世界的に人気が高いアニメ制作の現場で、36人もの命が奪われた事件が節目を迎えた。全容の解明を図り、容疑者をしっかりと事件に向き合わせることが重要だ。

 昨年7月に起きた京都アニメーション放火殺人事件で、京都府警が入院中の42歳の男を逮捕した。現場のスタジオにガソリンをまいて火を付け、36人を殺害し、34人を殺害しようとした疑いだ。男は容疑を認めているという。

 男は事件で重いやけどを負い、寝たきりの状態にある。それでも逮捕に踏み切ったのは、発生から10か月がたち、犯行時の記憶が薄れることを懸念したのだろう。

 入院中は事件の情報から遮断されていた。逮捕状が読み上げられた際、初めて犠牲者が36人に上ることを知ったという。

 今後、一人ひとりの被害者がどんな仕事をしてきたのか、どんな家族と暮らしてきたのかも知ることになろう。残された遺族の苦しみにも触れ、招いた結果の重大性を受け止めねばならない。

 被害者の多くは京アニ作品の若い作り手たちだった。アニメ界にとって多大な損失である。

 男は「自分の小説を盗まれた。京アニに恨みがあり、ガソリンを使えば多くの人を殺害できると思った」と供述しているという。

 京アニは、過去に実施した小説などの公募に、男と同一の名前で応募があったことを認めた上で、「これまでの作品と類似点はない」と盗用を否定している。

 男の思い込みによる、一方的な恨みなのか。それとも他に理由があるのか。犯行を決意した経緯を一つ一つ丁寧に解きほぐしていくことが欠かせない。

 男はベッドに寝たままの状態で事情を聞かれている。健康状態によっては、取り調べ時間も限られる。現場に立ち会わせて実況見分などを行うことも困難だろう。

 制約がある中での難しい捜査になるが、物証なども積み重ね、事件の真相に迫りたい。

 男は事件前にも何度もトラブルを起こし、精神疾患と診断されていた。今後、刑事責任能力の有無を調べるための鑑定留置が行われることになるだろう。

 起訴されれば、裁判員裁判で審理される。被害者数が多いため、長期化も予想される。

 その間、遺族や負傷者は、改めて事件を直視せざるを得なくなる。府警や被害者支援に取り組む民間団体は、心のケアや生活のサポートなどに、長期的視点で取り組んでもらいたい。

無断転載禁止
1249385 0 社説 2020/05/30 05:00:00 2020/05/30 05:00:00

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