性犯罪の防止 被害の深刻さ踏まえた対策を

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 人の尊厳を踏みにじる性犯罪は、断じて許されない。卑劣な行為を抑止し、被害者を守る手立てをしっかりと講じることが重要である。

 政府が、性犯罪や性暴力への対策を強化する方針を示した。2022年度までの3年間、再犯防止の強化や被害者支援の拡充などに集中的に取り組むという。

 性犯罪は、被害者の心身に深刻なダメージを与える。心的外傷後ストレス障害(PTSD)を長年抱え、日常生活にも支障をきたす人が少なくない。政府は、被害の重大さを受け止め、効果的な対策を確立してほしい。

 注目されるのは、仮釈放中の性犯罪者らに、全地球測位システム(GPS)機器の装着を義務づける仕組みの導入が、検討課題として盛り込まれたことだ。

 性犯罪で刑務所に再入所する割合は、殺人や強盗などと比べても高い。居場所を追跡するGPS端末を足などにつけることで、事件を繰り返さないようにする効果が期待されている。

 米国の一部の州や韓国では、既に導入されている。日本では、宮城県や大阪府が条例で義務づけることを検討したが、人権への配慮などから断念した経緯がある。

 政府は海外での運用実態を精査し、日本での導入について、利点と課題を洗い出す必要がある。

 刑務所などでは、性犯罪者に自分の行動や思考の問題点を考えさせる専門プログラムを実施している。受講者の再犯率は非受講者より低い。こうした教育をさらに充実させることが大切だろう。

 加害者は7~8割が顔見知りとの調査結果がある。特に子どもは、身近な親族や教師、スポーツの指導者から被害を受けるケースが目立つ。シッターによる幼児へのわいせつ事件も相次いでいる。

 わいせつ行為をした教員や保育士らを厳正に処分し、再び子どもと接する仕事につかせない仕組みを構築することが求められる。

 性被害は、潜在化しがちだ。内閣府の調査では、性交などを強いられた経験のある人の半数以上が誰にも相談していない。

 勇気を出して被害を申告することが、新たな犯罪行為を生まないことにもつながろう。訴え出た人が、捜査や公判で改めて傷つかないような配慮が欠かせない。

 各都道府県にある「ワンストップ支援センター」では、医療や法律面での助言、カウンセリングが1か所で受けられる。被害が深夜や休日の場合でも、すぐに対応してもらえる態勢を整えたい。

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1279516 0 社説 2020/06/16 05:00:00 2020/06/16 05:00:00

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