新型コロナ提言 脆弱性克服し不安解消したい

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◆医療・行政の課題を総点検せよ◆

 新型コロナウイルスの感染拡大は、日本の政治、経済、社会の脆弱ぜいじゃく性を直撃した。国の総力を挙げて、生活に安心を取り戻さなければならない。

 日本は、多くの国民が外出や営業の自粛要請に応じ、感染爆発を回避できた。深刻だったのは、経済・社会活動の全面的な停滞を余儀なくされたことだ。ワクチンや治療薬のない感染症の恐ろしさを示したと言えよう。

 読売新聞社は、第2波の到来に備え、感染症に強い社会を築くための提言をまとめた。医療体制から行政執行のあり方まで、半年に迫るコロナ禍で浮き彫りになった課題を総点検し、それを教訓に体制を構築する必要がある。

 ◆首相主導の司令塔を

 最優先の課題は、医療崩壊を決して起こさず、感染者が安心して症状に応じた治療を受けられるようにすることだ。

 第1波では、感染の疑いがあってもすぐにはPCR検査を受けられなかったため、国民の間に不安が広がった。感染の状況を正確につかまなければ、第2波は防げない。

 提言は、PCR検査体制を拡充し、1日10万件とすることを求めている。抗原検査などと適切に組み合わせ、感染の実態を明らかにしたい。

 病床の逼迫ひっぱくを招いてはならない。軽症の人は宿泊施設、中等症なら重点医療機関、重症の場合は高度医療機関に入院する。都道府県は、こうした役割分担を明確にして受け入れ先を準備し、病床確保計画の策定に努めてほしい。

 入国規制や物資不足への対応は後手に回った。緊急事態宣言発令などの節目ごとに、安倍首相や閣僚、専門家らが感染状況や政府の対策を説明したが、国民に的確に理解されたとは言いがたい。

 施策のスピードを高め、明確なメッセージを発信するには、感染症対策を担う首相主導の司令塔を設けることが有効だ。感染防止策や出入国管理、経済対策、情報発信などを総合的に検討して指揮する仕組みが肝要である。

 感染症研究者だけでなく、経済学者、実業界、教育界など幅広い分野にわたる専門家の知見を、政策に生かしたい。

 透明性ある議論を踏まえ、政治が大局的な見地から判断すれば、国民の信頼につながろう。

 休業要請の範囲や協力金などの扱いについて、国と都道府県が対立する場面が目立った。経済圏は都道府県境を超えて広がる。地方の実情を踏まえながら、混乱が生じないように政府主導で調整する枠組みが求められる。

 予算執行体制が重要

 経済対策では、現金給付や融資の実行に手間取った。体制の再構築が急がれよう。

 重要なのは国民の生活基盤となる雇用を守ることである。雇用の7割を支える中小企業は手元資金が少なく、支援は急を要する。

 政府系金融機関の実質無利子・無担保融資は一時、窓口がパンクした。従業員を解雇せず、休業にとどめた企業に支払う雇用調整助成金は手続きが煩雑だ。1人10万円の一律給付も遅れている。

 予算を組んでも資金が行き渡らなければ意味がない。政府は猛省し、迅速に予算が執行できるインフラを整えねばならない。

 海外より遅れているデジタル化が急務だ。簡単な申請で給付や融資が受けられるオンラインでの対応を強化してもらいたい。

 マイナンバーと口座情報を連携させ事務を効率化すべきだ。マイナンバーカードも含め、国が利点をわかりやすく示してほしい。

 コロナ後の成長戦略を描き直したい。「新しい生活様式」の中、ネット通販や宅配サービスに加えITによる新事業の創出が望まれる。企業の創意工夫が大切だ。

 戦略的に専門家を養成

 未知の感染症に備えるため、中長期的な対策を講じたい。

 日本は久しく、感染症に苦しめられる経験がなかった。その分、感染症や公衆衛生、疫学に関する専門家の層が薄い。資金を投じて戦略的に人材を養成すべきだ。

 感染症対策の高度な教育を受けた医療従事者が、通常は他の業務に就きつつ流行に備える、といった手法が効果的ではないか。

 一国の努力だけでは、感染症の世界的流行は防げない。ワクチンや治療薬の開発と普及には、国際協調が必須となろう。東京五輪・パラリンピックを控える日本は、その先頭に立つにふさわしい。

 医療従事者や感染者に対する差別や偏見があることは嘆かわしい。すべての対策の基礎となるのは、社会全体で感染を防ぐという国民の強い意識である。

無断転載禁止
1292163 0 社説 2020/06/22 05:00:00 2020/06/22 05:00:00

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