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被災者の氏名 迅速な公表が救命につながる

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 豪雨への警戒が必要な季節である。災害が起きた際に、自治体は迅速に被災者の安否情報を公表し、円滑な救命活動につなげることが大切だ。

 近年、記録的な大雨や地震などの大規模災害が相次いでいる。その度に、死者や行方不明者の氏名を明らかにするかどうかで、自治体の判断が分かれてきた。

 多くの自治体が死者や不明者の氏名を伏せ、人数だけを発表している。家族の同意が得られないケースが多いためという。

 その結果、地域住民から情報が寄せられず、捜索開始から数日後に、不明者が避難所や自宅に無事でいると判明した例もあった。

 発生後72時間で被災者の生存率は下がる。氏名が公表されないことで、救えたはずの他の命が失われることがあってはならない。

 被災地の情報がSNSを通じて次々と流される時代になった。誤った情報やデマが拡散することもある。自治体による正確な情報の発信は極めて重要だ。

 200人を超える死者を出した2018年の西日本豪雨では、岡山県が不明者の氏名をいち早く発表した。次々に生存情報が寄せられ、一時43人いた不明者は、3日後には3人に減った。

 氏名の公表で生存者が判明すれば、残る不明者の捜索に集中できる。限られた要員も、復旧作業や被災者支援に振り向けられる。

 個人情報保護法は、生命や身体の保護に必要な場合、本人の同意がなくても個人情報を外部に提供できると定めている。災害のような一刻を争う状況での氏名公表には、正当性があると言えよう。

 氏名公表の基準を策定している都道府県は12にとどまる。都道府県と市町村のどちらが公表するのか定まっていない地域もある。

 政府の防災基本計画は、死者と不明者の人数について都道府県が集約すると定めているが、氏名の取り扱いに関しては、自治体の判断に委ねられている。

 全国知事会は国に統一基準の策定を求めている。自治体が速やかに氏名を公表できるよう、国がルール作りを主導すべきだ。

 日本新聞協会は3月、内閣府と知事会に死者と不明者の実名公表を求めた。氏名を伏せることによる救助活動への悪影響を指摘したうえで、被災状況や教訓が社会に伝えられなくなり、国民の防災意識が弱まるとも強調している。

 国や自治体には国民の生命や財産を守る責務がある。災害の情報を広く共有し、一人でも多くの命を救える態勢を整えたい。

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1301965 0 社説 2020/06/26 05:00:00 2020/06/26 05:00:00

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