コロナ禍と祭礼 伝統の継承へ知恵を絞りたい

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 新型コロナウイルスの影響で、全国の祭礼や民俗芸能が苦境にある。伝統が途絶えることのないように、知恵を出し合うことが大切だ。

 青森のねぶた、秋田の竿燈かんとう、仙台七夕まつりの東北三大祭りが中止された。国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された「山・ほこ・屋台行事」33件も、多くが中止・縮小となっている。

 華やかな祭礼は訪日外国人の観光にも貢献してきただけに、地域経済には大きな痛手と言える。ただ、人々が密集する以上、感染防止とは両立しがたい。

 安易に式次第も変えられないため、苦渋の判断となるが、開催の見送りもやむを得まい。

 公開の行事は控える一方、関係者で神事のみを執り行うケースもある。この機会に、祭礼本来の意味を見直すことにつながろう。

 多くの夏祭りは、疫病や水害をはらうのが目的だった。大会の中止が相次ぐ花火も、慰霊などの祈りが込められていたとされる。

 毎年決まった時期に集まり、心を一つにして舞踊などの芸能を奉納することは、地域の活力を高める大事な場となってきた。

 今では生活習慣も変わり、宗教的な側面は意識されにくい。少子高齢化の進む地方では、存続が懸念されてきた。だが、東日本大震災の際は、避難住民を獅子舞が元気づけたとの報告もある。

 肝心なのは、再開できる時まで人の絆を保つことである。地域のり所として、直接の担い手任せにしない工夫が求められる。

 山鉾巡行を中止した京都の祇園祭は、ネット上で活動資金を募るクラウドファンディングを行い、支援の輪を広げる。オンラインで各地の獅子舞の交流を図る動きもある。現代的な手法として参考になるのではないか。

 博物館など、文化施設の役割は大きい。福島県の南相馬市博物館は「相馬野馬追のまおいすごろく」をサイトに公開し、楽しめるようにしている。今年の行事が縮小された中で、全体の流れがよく分かる。

 次世代の理解を深める上では、学校との連携が重要だ。

 国は祭礼や民俗芸能を、無形の文化財と位置づけ、調査や記録の作成、用具の修理などに補助を行っている。地域の文化遺産として活用を図る助成枠もある。

 申請通りに実施できない団体が出てこよう。国は自治体を通じ、きめ細かく情報を把握するとともに、将来につながる取り組みは柔軟にサポートしてほしい。

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1305861 0 社説 2020/06/28 05:00:00 2020/06/28 05:00:00

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