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スパコン世界一 高性能を幅広い分野に生かせ

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 基礎科学や企業の研究開発にスーパーコンピューターが重要な役割を担っている。世界と戦える競争力を維持し、産業の振興につなげたい。

 理化学研究所(理研)と富士通が開発したスパコン「富岳ふがく」が、計算速度を競う世界ランキングで1位になった。先代の「けい」が2011年11月に獲得して以来、8年半ぶりの朗報だ。

 富岳の計算速度は京の40倍近くに達し、2位以下に大差をつけた。新型コロナウイルスの流行で完成の遅れが懸念されたが、ぎりぎりまで調整作業を続け、今回の審査に間に合った。開発陣の努力のたまものと言えよう。

 日本は02年に国産スパコン「地球シミュレータ」で世界一の座についた。スパコン大国の米国は衝撃を受け、巻き返しに出る。その後は中国が10年に初のトップに立つなど台頭が著しい。日本は地盤沈下が否めない状況だった。

 教訓となったのは、京がランキングを意識して設計されたため、使い勝手が悪かった点だ。企業の利用は十分に広がらなかった。

 そのため、富岳は幅広いソフトが使えるように設計された。ランキングの基になる計算速度だけでなく、AI(人工知能)の処理能力など4部門で首位を占めた。バランスのいいシステムを目指した開発姿勢は評価できる。

 本格運用は21年度からで、現在は試運転の段階だ。それでも、人の口から出る飛沫ひまつがどう広がるかを計算し、予防に必要なついたての高さを予測する感染症対策の研究が始まっている。

 ウイルス表面の構造を分析し、有効な治療薬の候補を探る研究もスタートした。気象予測や自動車の衝突安全性など、社会のニーズに応える研究はスパコン開発の意義を知ってもらう上で大切だ。

 スパコン市場では米国と中国のメーカーが覇権を争う。政府は、富岳の1位獲得を弾みにして、日本の産業競争力をさらに高めていってもらいたい。

 富士通は、富岳の心臓部にあたる中央演算処理装置(CPU)を搭載したスパコン製品の販売を始めた。優れた技術を広く活用してもらう第一歩となろう。

 画像認識や自動翻訳など、AIを活用した新技術が、次々と生まれている。こうした新しい分野で日本の出遅れが目立つ。

 富岳は富士山の別名で、「高い頂と広い裾野」という意味が込められた。政府は、有用な研究インフラであるスパコンの利用の裾野を広げることが求められる。

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1305862 0 社説 2020/06/28 05:00:00 2020/06/28 05:00:00

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