英国の対中政策 不信の増大で転換を迫られた

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 信頼できない国の企業に、基幹インフラである通信ネットワークを委ねるリスクは大きいということか。経済よりも安全保障を重視した苦渋の政策転換だと言えよう。

 英政府が次世代通信規格「5G」の整備で、中国通信機器大手「華為技術」(ファーウェイ)を排除すると発表した。来年から5G関連のファーウェイ製品の購入を禁じ、導入済みの製品も2027年までに撤去、交換するという。

 今年1月の方針では限定的な参入を認めていたが、今回は「製品の安全性に疑義が生じたため」、排除に踏み切ったとしている。

 米国の制裁により、ファーウェイは米国の技術に由来する半導体を調達できなくなり、製品の信頼性が低下する可能性がある。米国は、製品を通じて情報が中国に流出したり、サイバー攻撃を受けたりする危険を警告している。

 英国は、他社製品に切り替えることで、5G網構築への時間がさらにかかり、費用もふくらむ。それでも、米国に足並みをそろえたのは、中国への不信感がかつてなく高まっているからだろう。

 新型コロナウイルスの感染拡大で中国は初期対応を誤り、情報公開も不十分だった。英国では、医療用品などを中国に依存することへの懸念が増大したという。

 さらに、香港情勢を巡り、溝は決定的に広がった。

 中国は、香港の反政府運動を取り締まる国家安全維持法(国安法)を導入した。英政府は、国安法施行は1984年の中英共同宣言で定めた香港の「高度な自治」を侵害するもので、宣言の「明白かつ深刻な違反」だと断じている。

 宣言は両国が交渉を重ねてまとめた国際約束である。中国との経済関係を重視してきた英国のジョンソン政権が、対中摩擦も覚悟して、中国の「約束違反」を明確に示した意義は大きい。

 英政府は、97年の返還前から香港に住む人の英国移住を受け入れることも決めた。旧宗主国の責任を果たすという意思表示だろう。中国が宣言の有効性を認めず、英国の主張を「内政干渉」とはねつけているのは筋が通らない。

 英国は2015年、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に先進7か国(G7)で最初に参加を決め、原発事業を含む対中経済協力を進めてきた。「黄金時代」とまで言われた蜜月関係は終わりつつある。

 中国は、経済を軸に英国を取り込む戦略が独善的ともいえる外交でつまずいた現実を直視すべきだ。

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1344652 0 社説 2020/07/16 05:00:00 2020/07/16 01:51:04

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