検事総長交代 独立性を保ち信頼取り戻せ

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 政治との距離感に社会の厳しい目が向けられる中で、検察の新体制が発足した。厳正な業務遂行を積み重ね、信頼回復に努めねばならない。

 稲田伸夫・検事総長が退任し、後任に林真琴・東京高検検事長が就任した。林氏は記者会見で「厳正公平、不偏不党を旨とし、検察権の誠実な行使に努める」と強調した。国民の不信を招いたことへの危機感の表れだろう。

 発端は、政府が今年1月、従来の法解釈を変更し、黒川弘務・元東京高検検事長の定年延長を決めたことだった。黒川氏を検事総長にするためではないかとの見方が広がり、政権による検察人事への介入だという批判が高まった。

 検事総長ら検察幹部の定年を、内閣の判断で延長できる規定を盛り込んだ検察庁法改正案は、世論の激しい反発を受けて廃案となった。黒川氏は賭けマージャン問題で訓告処分を受け、辞職した。

 検察は起訴権限をほぼ独占する準司法的な機関で、独立性が欠かせない。今回、検察に対する信頼は大きく傷ついた。検察内部にも、政治介入が疑われる事態を招いたことへの不満がくすぶる。

 新検事総長を中心に、組織の立て直しを急ぐ必要がある。

 林氏は、名古屋刑務所で起きた受刑者死傷事件に伴う2003年の刑務所改革や、10年に発覚した大阪地検特捜部による証拠改ざん事件後の検察改革を担った。これまでの危機対応の経験を生かし、指導力を発揮してもらいたい。

 黒川氏の辞職を受け、森法相は有識者による法務・検察行政の刷新会議を設置した。検察官の倫理や法務行政の透明化を話し合うことになったが、委員の人選や議題の設定で調整が難航した。

 10年の証拠改ざん事件で、検察は痛手を負った。その際に設置された有識者会議では捜査の適正化が検討され、取り調べの録音・録画の義務化につながった。

 刷新会議はこの10年間の取り組みを検証し、課題がどこにあるのかしっかり議論してほしい。

 信頼を高めるには、説明責任を果たすことも重要である。

 昨年の参院選を巡る買収事件で、東京地検特捜部は河井克行・前法相夫妻を起訴する一方、夫妻から現金を受け取ったとされる地元議員らは起訴していない。きちんと理由を明らかにすべきだ。

 検察権の行使は国民の信頼に支えられる。権限が強大なだけに、独善に陥らないよう、公益の代表者としての責務を自覚し、謙虚な姿勢で臨むことが求められる。

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1352611 0 社説 2020/07/20 05:00:00 2020/07/20 05:00:00

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