EU復興基金 コロナ禍が結束をもたらした

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 新型コロナウイルスがもたらした危機が、欧州連合(EU)に結束を迫ったと言えよう。

 EU首脳会議が5日間にわたる異例のマラソン協議の末に、域内経済の回復策として、7500億ユーロ(約93兆円)の「復興基金」創設で合意した。基金はコロナ禍の被害が大きい国に重点的に配分される。

 財源は、EUの執行機関である欧州委員会が債券を発行して金融市場から調達するという。EUが債務を共同で担うのは初めてだ。基金の構想を提唱したフランスのマクロン大統領は「欧州にとって歴史的な日だ」と歓迎した。

 コロナ感染の初動では、EUの各加盟国が自国内の対策に追われ、足並みが乱れていた。基金創設により、EUが求心力の低下に歯止めをかけた意義は大きい。

 基金創設が可能になったのは、これまでEU共通債の発行に反対してきたドイツのメルケル首相が賛成に回ったからだ。方針転換の背景には、EUの課題である南北格差がコロナ禍でさらに深刻化することへの危機感がある。

 イタリアやスペインなどの南欧諸国は、財政基盤や産業競争力が弱いうえに、感染拡大による医療崩壊で甚大な打撃を受けた。

 ドイツなど北部が経済を回復させても、南欧が停滞したままでは亀裂の修復は期待できない。基金創設を機に格差を是正し、EUの安定を維持することが重要だ。

 基金を巡る議論で最大の焦点となったのは、返済不要の補助金と貸付金の割合である。

 オランダなど財政規律を重視する北部の国は「倹約国」と呼ばれ、多額の補助金の拠出に反対した。独仏主導の原案では補助金は5000億ユーロだったが、最終的に3900億ユーロに減額された。

 補助金の使途に問題があれば、加盟国が異議を唱えられる仕組みも導入されている。南欧諸国は、倹約国などの厳しい視線を忘れず、財政の健全化や構造改革に取り組む必要がある。

 EUの2021~27年の中期予算は、復興基金と合わせて、1・8兆ユーロに拡大した。うち約3割が再生可能エネルギーの普及など、気候変動対策に投じられる。

 コロナ禍からの回復だけでなく、環境や産業のデジタル化への投資を増やすことで、EUの成長につなげる狙いがある。

 環境問題の重視は、EUの多国間主義の象徴だ。米国と中国による激しい覇権争いの中で、EUが地盤沈下を食い止め、存在感を示せるかどうかが問われよう。

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1360714 0 社説 2020/07/23 05:00:00 2020/07/23 05:00:00

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