最低賃金 引き上げの環境を整えたい

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 厚生労働省の中央最低賃金審議会は、労使の隔たりが大きく、最低賃金の引き上げの目安を示さずに終わった。現行水準の維持が基本となる。

 リーマン・ショック後の2009年度以来の足踏みだ。新型コロナウイルスの流行による景気悪化は深刻で、雇用の確保を優先するのはやむを得ないだろう。賃上げができる環境を整えたい。

 都道府県別の最低賃金は、これを踏まえて地方の審議会が検討し、秋以降に改定される。各審議会は地域の経済状況を丁寧に分析し、適切に判断してほしい。

 最低賃金は、パートやアルバイトなど非正規労働者にも適用される。労働者全体の賃金が底上げされれば、生活基盤が強化され、消費喚起による経済活性化をもたらす。その意味では本来、安定的に引き上げることが望ましい。

 政府は15年、時給を毎年3%程度引き上げ、全国平均1000円とする目標を掲げた。昨年度まで4年連続で約3%ずつ上げ、現在は平均901円となっている。

 今年度の審議会では、労働側が従来通りの引き上げを求めたのに対し、経営側は凍結すべきだと主張した。宿泊・飲食業などはコロナ禍の影響が大きく、賃金アップを迫られれば、従業員の解雇などにつながりかねないという。

 まずは雇用確保を優先しつつ、来年度以降、引き上げの軌道に再び戻していくことが重要である。全国平均1000円という目標を堅持するのは妥当だ。

 最低賃金の地域間格差を縮小することも欠かせない。

 最も高い東京都は1013円だが、青森県などは790円にとどまる。格差を放置しておくと、若者らがより高い賃金を求めて地方から都市部に流れる懸念がある。東京一極集中を是正するためにも地方の賃金底上げが必要だ。

 コロナ禍にあっても、地域や業種によって、業績を向上させた企業はあろう。賃上げの見送りが当然視されれば、経済がしゅくする。積極的な検討が求められる。

 日本の最低賃金は、主要先進国と比べて低く、消費低迷の一因となっている。政府は、中小企業の収益力強化を後押ししてもらいたい。成長分野進出のための設備投資や、大企業との取引条件改善などを支援すべきだ。

 コロナ禍が長引く中、医療や介護、保育、物流など、社会活動に不可欠な仕事の重要性が再認識された。すぐに賃金を大きく上げるのは困難だとしても、処遇改善は社会全体の課題である。

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1365883 0 社説 2020/07/26 05:00:00 2020/07/26 05:00:00

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