ストーカー規制 時代に見合う法改正が必要だ

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 通信機器の普及に伴いストーカーの手口は巧妙化している。現行法で対処しきれない行為を規制するため、法整備の検討を進める必要がある。

 相手の車に全地球測位システム(GPS)をつけて位置情報を得ることが、ストーカー規制法の禁じる見張りにあたるかどうかが問われた刑事裁判で、最高裁が「見張りにあたらず、罪に問えない」との初判断を示した。

 規制法は、自宅近くなどでの見張り行為を禁じている。判決は見張りについて「一定の場所で被害者の動静を観察する行為」と判断し、GPSを使って遠隔で位置情報を得るだけではストーカー行為に当たらないと結論づけた。

 法律に明記された行為のみを犯罪とする「罪刑法定主義」の原則に沿った判断だ。恣意しい的な処罰を防ぐためにも、拡大解釈は認められないということだろう。

 捜査当局はこれまで、GPSによる行動監視を規制法違反で摘発し、有罪が確定した事件も多い。最高裁の判断が示されたことで、捜査は見直しを迫られる。

 留意すべきは、罪に問われないからといって、こうした行為が許容されるわけではないことだ。

 被告の男らは、元交際相手や別居中の妻の車に無断でGPSをつけ、得た位置情報を基に居場所を突き止めるなどしていた。被害者が感じる不安や恐怖は大きく、プライバシーを侵害する悪質な行為であることは間違いない。

 GPSは近年、飛躍的に精度が向上している。加害者は高性能の機器を入手し、被害者の居場所を詳細に把握できるようになった。2000年の法施行当時は、想定していなかった事態である。

 ストーカーを巡っては、被害者が殺害されるなどの深刻な事件が後を絶たない。事件のたびに法の不備が指摘され、2度の改正で大量のメール送信やSNSへの執拗しつような書き込みが規制対象に加えられ、罰則も強化された。

 GPSによる行動監視は、エスカレートすれば凶悪犯罪につながりかねない。事件を未然に防ぐため、行為自体を規制できるよう法改正すべきではないか。

 昨年摘発されたストーカー事件は約2300件で、被害の相談や通報は7年連続で年間2万件を超えている。警察による積極的な捜査はもちろん、被害者の保護と相談体制の充実が欠かせない。

 医療機関と連携し、加害者にカウンセリングを受けさせる県警もある。こうした根本的な防止策にも力を入れてもらいたい。

無断転載・複製を禁じます
1381053 0 社説 2020/08/02 05:00:00 2020/08/02 05:00:00

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

一緒に読もう新聞コンクール

新着クーポン

NEW
参考画像
ランチでご来店のお客様にジェラートをサービス
NEW
参考画像
600円300円
NEW
参考画像
アクティビティご利用でソフトドリンク1本サービス
NEW
参考画像
ご宿泊のお客様の夕食時に地酒(お銚子)またはソフトドリンク1本サービス

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ