香港議会選延期 民主主義の形骸化を懸念する

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 香港の「中国化」に対する民意を示す貴重な機会が先延ばしになった。民主主義の形骸化が進むことが懸念される。

 香港政府が9月に予定していた立法会(議会)選挙の1年延期を発表した。

 林鄭月娥行政長官は、新型コロナウイルスの感染拡大を理由に挙げ、「予定通りの期日では、安全で公平な選挙ができない」と述べた。中国も「香港の最優先任務は感染防止だ」として、延期を容認する姿勢を示していた。

 香港では7月以降、感染者が増加傾向にある。だが、中国や香港政府の説明を額面通りに受け取ることはできない。

 議会選では、中国が香港の頭越しに施行した国家安全維持法(国安法)の是非が最大の争点になるはずだった。反体制運動を取り締まる国安法について、民主派の議員や候補は反対する立場だ。

 民主派の立候補者を絞り込む予備選には、予想を大幅に上回る61万人が参加した。香港政府が延期を決めたのは、国安法への反対世論が噴出し、民主派が勝利することを恐れたからではないか。

 民主派は「香港政府は親中派を救うためにコロナを政治利用した」と反発している。世論調査では、55%が選挙の延期に反対し、賛成の36%を上回った。

 出馬を届け出た民主派のうち12人は、延期決定の前に、国安法反対などを理由に立候補を取り消された。4年前の前回選挙の2倍に上る。1年後に選挙が行われるまでに民主派が一掃され、親中派候補一色となる可能性がある。

 問題なのは、香港政府が国安法の施行時に「慎重な運用」を表明していたにもかかわらず、強引な取り締まりが目立つことだ。

 香港での摘発を逃れるため、英国などに滞在する民主活動家ら6人は、「外国などの勢力と結託して国家の安全に危害を加えた」として指名手配された。

 ネット上に「香港独立」の書き込みをした活動家4人は、国の分裂をあおったとして逮捕された。街頭での抗議活動以外で国安法が適用されたのは初めてだという。

 香港メディアは国安法を意識し、当局批判を抑制し始めた。図書館や学校からは、民主活動家の著作が撤去されている。

 国安法施行からわずか1か月で言論の自由が急速に失われている現状は看過できない。

 香港政府は、民主派への弾圧を強めるほど、「コロナ対策による選挙延期」という主張が説得力をなくすことを認識すべきだ。

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1385630 0 社説 2020/08/04 05:00:00 2020/08/04 05:00:00

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