ホーム転落事故 危険箇所を見逃していないか

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 目の不自由な人が駅のホームから線路に転落する事故が後を絶たない。国や鉄道事業者は早期に防止策を講じ、再発を食い止めねばならない。

 東京都杉並区のJR阿佐ヶ谷駅で7月、視覚障害者の男性がホームから転落し、死亡した。男性は自力でホームにはい上がろうとした。近くの人が助けようと駆けつけたが、間に合わなかった。痛ましい事故というほかない。

 転落事故は年間3000件前後起きている。視覚障害者の事故は近年60件以上発生しており、昨年度は3人が亡くなった。

 転落防止に有効とされるホームドアは、JR阿佐ヶ谷駅にはなかった。設置されていれば、事故を防げたのではないか。

 ホームドアは多額の費用がかかるため、設置は思うように進んでいない。ホームの強度が足りない、車両によって扉の位置がずれる、といった課題もある。

 国は、全国に約9500ある駅のうち、800駅にホームドアを導入する目標を掲げ、今年3月末までに達成したとしている。数値目標を示して、事業者に設置を促す意図は理解できる。

 問題は、数値が実態を反映していない点だ。駅に複数のホームがある場合、一つのホームでもドアを設置していれば、設置済みとみなしている。国は、ホーム数で目標を設定し直すべきである。

 最近は、軽量で異なる種類の車両にも対応できるホームドアが開発されている。事業者は積極的に導入を検討してもらいたい。

 過去の事故を検証し、リスクを洗い出すことも不可欠だろう。

 今回の事故と、1月に東京都荒川区のJR日暮里駅で起きた視覚障害者の転落死事故には共通点がある。いずれも階段脇のホームの幅が狭い場所から転落していた。危険箇所に応じた対策を進めることが事故の抑止につながる。

 駅員による誘導も重要だ。視覚障害者ら手助けが必要な人に声をかけて案内し、乗車するまで見守ることを徹底してほしい。危険なホームには、人員を手厚く配置することも必要になる。

 利用者も気を配りたい。点字ブロックの上に立ち止まれば、視覚障害者が道しるべを失うことになる。歩きながらスマートフォンを操作する「歩きスマホ」は衝突を招く恐れがある。こうした行為は転落の危険を高めかねない。

 「安全」の確保は、鉄道事業者にとって最も大事な責務である。手立てを尽くして、悲劇を防がなければなるまい。

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1396178 0 社説 2020/08/08 05:00:00 2020/08/08 05:00:00

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