新興企業の育成 大企業は適切な連携へ努力を

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 大企業が、立場の弱い企業に不利な取引を強いることは許されない。未知の分野に挑戦する新興企業であれば、なおさらだ。適切な協力関係を築いてもらいたい。

 公正取引委員会は、創業10年以内の新興企業を対象に、取引慣行の実態調査をまとめた。

 新興企業の15%が、取引先の大企業などから「納得できない行為を受けた」と答える一方、うち75%が「受け入れた」と回答した。関係への悪影響を懸念し、泣き寝入りしたケースが目立つ。

 資金を出す大企業に技術やノウハウが流出し、いつの間にかほぼ同じサービスを勝手に始められていたとの報告がある。製作を依頼すると、無断で関連特許を出願された例もあったという。

 優越的な地位を乱用した行為と疑われるものが少なくない。政府は監視を強め、悪質な場合には厳正に対処せねばならない。

 公取委は、独占禁止法で問題となる具体例や、その改善策を示す指針を年内にも策定する方針だ。企業への周知を徹底したい。

 大事なのは、大企業が新興企業の立場を尊重し、対等な関係作りに努めることである。

 多くの大企業は、「自前主義」による技術革新に限界を覚え、異業種、異分野の知恵や技術を結集する「オープンイノベーション」を重視している。そこでは、新興企業の力が不可欠となる。

 新興企業は「スタートアップ」と呼ばれ、独自のアイデアや技術で新商品やサービスを機動的に開発することを得意とする。IT関連が多く、新型コロナウイルスの流行で一段と存在感が増した。

 ワクチンや治療薬の開発を競うバイオベンチャーのほか、オンライン商談システムや、人工知能を使った医師の問診支援システムを手がける企業などが注目を集めている。消毒液を散布するロボットの実証実験を進める例もある。

 だが、新興企業は資金力や人材、法務知識などは乏しい。大企業と互いに強みを持ち寄れば、成長の可能性が一気に広がる。

 両者の円滑な協力に向けて、国の後押しが重要である。

 政府の成長戦略実行計画は、日本の産業競争力を高めるため、大企業と新興企業の連携を強化する方針を盛り込んでいる。

 経済産業省は、協業の際に結ぶ契約書のひな型を作成した。秘密保持のルールや共同研究の際の権利などを明確化する内容だ。広く活用を促したい。公的な相談窓口の設置も検討課題となろう。

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1403115 0 社説 2020/08/12 05:00:00 2020/08/12 05:00:00

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