災害ごみ 広域連携で迅速な処理を図れ

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 災害時に発生する膨大なごみは、復旧への妨げになる。自治体は迅速に処理できる体制作りを急がねばならない。

 地震や台風のたびに、自治体は災害ごみの扱いに苦慮してきた。路上に放置されると、車や人の通行が阻まれる。家具や家電、衣類などが混在し、悪臭や細菌の発生で衛生環境が悪化しかねない。火災のリスクもある。

 7月の九州豪雨で、現地は大量のごみ処理に手間取っている。昨秋の台風15号と19号の被災地では計200万トンを超える廃棄物が生じた。発生から処分を終えるまでに約2年を要するという。

 被災した自治体が、ごみの仮置き場を事前に決めていないケースもあった。準備不足が処理の遅れにつながったことは否めない。

 国は2016年、全国の市町村に災害廃棄物処理計画を作るよう求めた。あらかじめ仮置き場を選定し、運搬や分別、最終処分などの手順を定めておくことで、処理を円滑に進める狙いがある。

 だが、計画を定めた市町村は全体の半数にとどまる。未策定の9割は人口10万人未満の自治体だ。専門人材が乏しく、独自に計画を作るのは難しいのだろう。

 それでも南海トラフ地震の被害が想定される県では、市町村の計画策定率が高い傾向がある。策定率が低い都道府県は危機意識を高めてほしい。国や都道府県は職員を派遣したり、研修会を開いたりして計画作りを支援すべきだ。

 気候変動に伴い、台風や豪雨災害は激甚化、広域化している。被災した自治体だけで、大量のごみを処理するのは限界がある。都道府県や市町村は、ごみの受け入れ協定を拡充するなど、広域連携を強化することも不可欠だ。

 すでに計画を策定した自治体も随時、見直す必要がある。台風19号では、計画があっても仮置き場内のレイアウトなどを詰めていなかったため、ごみの搬入が滞った例があった。計画を具体化し、実態に合わせた内容に改めたい。

 環境省は近く、災害対応に精通した自治体の職員をリスト化し、被災地に派遣する制度を作る。来春の運用開始を目指すという。

 派遣された職員が計画に沿って適切に助言し、円滑なごみ処理につなげることが大切だ。

 九州豪雨で被災した熊本県は、新型コロナウイルスの感染防止のため、受け入れるボランティアを県内在住者に限り、家屋からごみを搬出する人手が不足した。各自治体は、人員の確保策も事前に検討しておいてもらいたい。

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1421154 0 社説 2020/08/20 05:00:00 2020/08/20 05:00:00

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