コロナと中傷 感染者を責めるのは理不尽だ

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 新型コロナウイルスは誰でも感染する可能性がある。感染した本人や周囲の人、通っている学校などへの理不尽な中傷や差別をなくしたい。

 サッカー部員らの集団感染が起きた松江市の高校には、「学校をつぶせ」などと非難の電話が殺到した。インターネット上に生徒の写真が転載され、「コロナをばらまいている」と書き込まれた。

 批判にさらされ、「眠れない」などと心身の不調を訴える生徒もいるという。感染への不安が生んだ行動かもしれないが、行き過ぎた反応だと言わざるを得ない。

 ラグビー部で50人超の感染者が確認された奈良県の天理大では、関係ない学生が中学校や高校から教育実習の受け入れを拒否されたり、アルバイト先から出勤を見合わせるよう求められたりした。

 地元の天理市長が「不当な差別であり、社会の分断につながる」と冷静な対応を求めたのは当然である。感染症を巡っては、ハンセン病やエイズ患者が差別や偏見にさらされた歴史がある。こうした過ちを繰り返してはならない。

 国立成育医療研究センターが6~7月に行ったネット調査では、回答した7~17歳の子供の3割が「自分や家族が感染しても秘密にしたい」と答えた。感染したことを責められるのではないか、という恐れが根底にあるのだろう。

 こうした風潮が強まれば、保健所による感染経路の調査などにも支障が生じる。結果として、感染の拡大につながりかねない。

 国内の感染者数は累計6万人を超えている。どんなに防止策をとっても、感染を完全に防ぐのは難しい。感染した人を責める言葉は、自分にも降りかかる可能性があることを認識すべきだ。

 ネット上での悪質な誹謗ひぼう中傷やデマ情報の拡散は、名誉毀損きそんに問われることもある。

 常磐道のあおり運転で逮捕された男の同乗者だとウソを流された女性が、投稿した元市議に賠償を求めた訴訟では、東京地裁が33万円の支払いを命じた。投稿が原因で辞職もしており、代償は大きい。安易な書き込みは戒めたい。

 栃木県那須塩原市は近く、コロナ感染者や家族らを誹謗中傷しないよう市民に求める条例を制定する方針だ。市は正しい知識を普及させ、差別をなくすことを目指す。被害者の相談にも乗るという。

 感染者や医療従事者を攻撃する書き込みがないか、ネット上を監視している自治体もある。心ない言葉で傷つく人を出さぬよう、手立てを尽くさねばならない。

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1441763 0 社説 2020/08/30 05:00:00 2020/08/30 05:00:00

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