若年性認知症 働き盛りでの発症は難題だ

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 働き盛りでも認知症は発症する。高齢者とは異なる課題を踏まえて、支援を強化したい。

 東京都健康長寿医療センターの調査で、65歳未満の若年性認知症の人は全国で推計3万5700人に上ることがわかった。アルツハイマー型や脳血管性認知症などが多い。50歳代と60歳代が大半を占めるという。

 高齢者の認知症と比べて人数が少ないこともあって、本格的な対策が遅れている。政府は、現状を丁寧に分析し、有効な手立てを講じてほしい。

 課題の一つは、初期の対応が遅れがちなことだ。本人や家族が最初に気付いた症状は「物忘れ」が最多で、「職場や家事でミスをした」「怒りっぽくなった」が続いた。こうした異変だけでは、認知症だと疑う人は少ないだろう。

 だが、認知症は高齢者だけに発症するわけではない。適切に対応するには、本人や周囲が症状や特徴に対する理解を深めることが大切だ。自治体は、企業や学校などで基礎的な講習を実施している。職場での受講は有意義だろう。

 適切な医療機関が見つからず、悩む人も多い。都道府県などが指定する認知症疾患医療センターは全国に約450か所あるが、あまり知られていない。周知を図ると同時に、認知症に対応できる地域の医師も育成すべきだ。

 深刻なのは、仕事の継続に支障が出ることだ。調査では、発症時に働いていた人のうち、約7割がその後退職したという。

 若年性認知症支援コーディネーターの活躍がカギを握ろう。症状や希望に応じて、職場、医療機関、ハローワークなどと連携し、就労機会の確保や経済面のサポートを行う役割である。

 政府は、2015年に策定した計画に基づき、社会福祉士ら専門家約130人をコーディネーターとして自治体に配置している。

 認知症の人の職場に就業継続の理解を求めたり、転職先を探したりすることは簡単ではない。ケアのための専門人材をより多く育てるとともに、企業や社会全体の認識を深める必要がある。

 就労が難しい場合でも、社会と積極的にかかわれば、生きがいにつながろう。地域住民らと交流する場を作ることが大切だ。

 家族への目配りも忘れてはならない。認知症の親を介護するために進学をあきらめる子供や、高齢の親と認知症の配偶者の双方を介護する人もいる。社会全体で、本人とその家族を支える環境を整えることが重要である。

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1450738 0 社説 2020/09/03 05:00:00 2020/09/03 05:00:00

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