大阪都構想 住民に効果と展望を提示せよ

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 巨額の費用と多大な労力をかけて、人口約270万人の大阪市を廃止する。その是非を巡り、住民は再び重い選択を迫られることになった。

 大阪市議会が大阪都構想の制度案を可決した。大阪府議会は、すでに承認しており、大阪市民を対象にした住民投票が、11月にも実施される予定だ。

 賛成多数なら24行政区からなる大阪市は2025年、4特別区に移行し、解体されるという。都市整備や産業振興などは府に移し、特別区は教育や子育て支援といった身近なサービスを受け持つ。

 府と市の二重行政を改めようと地域政党・大阪維新の会が推進しているもので、15年の住民投票では否決された。効果が見通せず、住民サービス低下の懸念が拭えなかったことが要因と言えよう。

 新たな制度案は、府・市の協議会で3年間議論し、作成された。前回案から区割りを見直し、財政の均衡を図った。現行庁舎の活用など、移行コストも縮減し、府と区で毎年度、財政を検証する仕組みを導入する方針だ。

 前回案に比べて、精査が一定程度、進んだのは確かだろう。

 問題なのは、府と市の協力体制が着実に進展する中で、大がかりな制度変更を行うメリットが、いまだ判然としないことである。

 11年以降、府と市の首長は維新が担い、研究所や港湾局、大学などの組織統合が決まった。今後も緊密に協力すれば、今のままでも効率化が可能ではないか。

 制度案では、年約8500億円に上る大阪市の財源のうち、2000億円を、府が実施する広域的な事業に移すという。

 府や市はバブル期以降、多くの事業や施設整備を手掛け、大半が失敗に終わった。明確な戦略を描かず、場当たり的に進めた結果、深刻な財政悪化を招いた。都構想で問題点を解決できるのか。具体的な青写真を示してほしい。

 東京都では新型コロナウイルス感染者数の集計ミスが発覚し、都と保健所を所管する区の連携不足が指摘された。都構想で区が誕生しても、それだけで効率的な行政が実現するわけではあるまい。

 移行には初期費用だけで241億円を要する。コロナ禍の中で、膨大な事務作業も強いられる。

 感染防止のため、住民に周知する機会は限られている。15年に39回開かれた説明会は、8回しか予定されていない。

 住民が正しい判断を下せるよう、府と市は、投票日まで疑問の解消に努めねばならない。

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1453443 0 社説 2020/09/04 05:00:00 2020/09/04 03:28:24

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