気象庁の広告 信頼を損なう表示では困る

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 気象庁が公式ホームページ(HP)で提供する天気予報などは、防災に欠かせない重要な情報である。表示方法によって利用者の信頼を損なうことがあってはならない。

 気象庁がHPに有料で民間広告の掲載を始めたが、約20時間で一時停止に追い込まれた。通信販売やヘアケア商品で誇大広告の恐れがあるものが、約100件掲載されたためだという。

 HPは、昨年1年間の閲覧数が約79億回に上る。台風接近時などは、1日5000万回を超えることもあるという。広告掲載は、HPの年2億4000万円に上る運営費の一部を補う目的だった。

 トラブルの原因は、閲覧者のインターネット検索履歴などに応じて表示される内容が変わる「運用型広告」を採用したことだ。

 この方式では、外部のサーバーに接続するため、悪意のある第三者に不正なプログラムを送り込まれたり、閲覧画面が改ざんされたりする危険も指摘されている。

 行政機関のHPに広告が載っていれば、問題のある企業でも信頼できると受け取る人もあろう。

 気象庁は、掲載基準に反する広告を自動的に排除するルールを事前に作っていたが、不適切な広告の表示を防げなかった。

 今回の事態を受け、上部組織にあたる国土交通省が、広告掲載方法の変更を含め、抜本的対策を指示したのは当然である。

 気象庁が提供しているのは、台風や地震、津波など国民の生命に関わる情報だ。利用者が不信感を抱き、閲覧をちゅうちょするようなことは、極力避けねばならない。

 有効な再発防止策が打ち出せないのであれば、運用型広告の停止や広告掲載そのものを中止することも選択肢となるだろう。

 正確な気象情報の提供は、気象庁の基幹業務だ。必要な予算は税金で賄うのが筋である。

 中央省庁HPの広告掲載は、外務省が一時行っただけという。気象庁が今回、異例ともいえる広告掲載に踏み切った背景には、国の厳しい財政事情がある。

 気象庁の今年度予算は594億円で、20年前より約1割減った。気象庁は閲覧者の多いHPの特性を生かし、国民負担を減らすとしているが、経費節減につながる無駄は他にあるのではないか。

 国民への情報発信の手段として省庁HPの重要性は増しており、これまで以上に信頼性が求められている。政府は今回の問題を教訓に、広告掲載のあり方について再検討することが必要だろう。

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1502022 0 社説 2020/09/26 05:00:00 2020/09/26 05:00:00

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