議決権の無効化 株主総会の改革を蔑ろにした

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 株主総会を活性化することが、経営効率化と企業価値の向上には不可欠だ。その根幹となる議決権行使をないがしろにすることは許されない。

 三井住友信託銀行とみずほ信託銀行が、企業から受託した総会の議決権行使書の集計で、期限内に届いた書面の一部を無効としていたことが発覚した。

 両行によって不適切な処理が行われた企業は、5~7月の間に計1346社に上った。上場企業の約3分の1にあたる規模だ。

 議決権は、総会で経営の重要事項の決定に関与できる株主の重要な権利である。それが不当に損なわれたことは看過できない。

 信託銀行は、企業から株主の名簿管理や総会の事務を請け負う「証券代行業務」が主力事業の一つだ。両行は、議決権の集計を折半出資会社に委託していた。

 その会社は、総会の集中時期の業務を円滑化しようと、郵便局と協議し、郵送による議決権行使書を本来の到着日の1日前に受け取っていた。期限最終日の書面は、期限後に届いたものとして無効の扱いにしていたという。

 民法は、郵送での意思表示は到着時点で効力が生じると定めている。期限内なら有効なのは明らかだ。両行は、議案の決議に影響した事例は確認できないと説明しているが、総会の運営に対する信頼を損なう事態である。

 今回の問題が発覚したのは、東芝の総会での決議を巡り、海外の投資ファンドから議決権行使書が結果に反映されていないとの指摘を受けて、調べたのが発端だ。

 慣行は20年間も続いていた可能性がある。両行は総会改革の流れを軽視していたのではないか。

 かつての総会は「シャンシャン総会」と言われ、会社側の議案がそのまま可決されることがほとんどだった。企業の株式持ち合いが多かったためで、非効率な経営が温存される要因となっていた。

 金融庁は2014年、機関投資家に積極的な議決権行使を促す指針を策定し、17年には個別議案への賛否を開示するよう求めた。

 株主の反対票が増え、可決が僅差の場合も出てきた。総会が会社と株主の真剣勝負の場となり、議決権の重みは増している。

 日本は、議決権行使の電子化が遅れている。米国や英国では、機関投資家の9割以上がパソコンなどで行使しているといい、デジタル化を急がねばならない。

 総会開催日の集中も不適切処理の一因だ。分散化で事務の負担を軽くすることが課題となろう。

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1507764 0 社説 2020/09/29 05:00:00 2020/09/29 05:00:00

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