基準地価下落 需要の変化を丁寧に見極めよ

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 上昇基調にあった地価が、新型コロナウイルスの流行により下落に転じた。政府や関連業界は、不動産需要の動向を注視する必要がある。

 国土交通省が発表した7月1日時点の基準地価は、全用途の全国平均が3年ぶりに下がった。

 用途別では、景気変動の影響を受けやすい商業地が全国平均で5年ぶりに値下がりし、昨年、28年ぶりに上昇した地方圏の商業地は再び下げた。住宅地は、全国平均のマイナス幅が拡大した。

 地価の下落は、住宅の購入をしやすくするメリットがある反面、経済全体には打撃が大きい。

 資産の価値が目減りすると、企業や家計の心理を冷やし、投資や個人消費に悪影響を与える。経済の活力を奪う「資産デフレ」に陥る恐れがある。地価は安定的に推移することが望ましい。

 気がかりなのは、主に商業地の需要に、構造的な変化が起きつつあることである。

 訪日外国人客が増えてホテルや商業施設用の取引が活況だった地域で、値下がりが目立っている。地方の観光地のほか、東京の銀座や新宿、大阪の道頓堀付近など、繁華街に波及している。訪日客の増加は当面、見込めまい。

 企業の事務所向けの需要にも陰りがみられ、東京都心のオフィスの空室率は上昇に転じている。賃貸料は下落傾向にあるという。

 テレワークの拡大で、オフィスを縮小する動きが出ているためだろう。富士通は国内の事業所のスペースを半減させる方針だ。コロナの収束後も、その流れが続くことが想定される。

 国交省は現時点では、オフィス需要の減少が地価の下落にどれだけ影響を与えたかは確認できていないというが、先行きは見通せない。政府は、今後も下落が加速するようなら、景気対策などを通じた下支えを検討するべきだ。

 株価は堅調で、日本銀行の量的緩和もあって不動産に資金が流入しやすい状況は変わらない。コロナの影響を丁寧に見極めたい。

 在宅勤務の定着など働き方の変革は、地価が低迷してきた地域には好機でもある。都市部の駅に近い土地の魅力が薄れ、割安な郊外や、地方の不動産の人気が高まる可能性があるからだ。

 各自治体が、IT基盤の拡充やテレワークに適した住宅提供の支援など、働く環境を整えることが大切となる。東京への一極集中是正に向け、政府も自治体や企業の取り組みを後押しし、地域経済の活性化につなげてもらいたい。

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1510457 0 社説 2020/09/30 05:00:00 2020/09/30 05:00:00

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