米大統領選 低次元論戦が示す政治の劣化

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 現代の米大統領選で、候補がこれほど相手への憎悪をむき出しにする構図はなかったのではないか。論戦のレベルの低さは、米国の政治の劣化を如実に示していると言えよう。

 共和党現職のトランプ大統領と民主党候補のバイデン前副大統領が、11月の大統領選に向けてテレビ討論会を行った。両者が初めて直接論争する場となったが、個人攻撃や相手の発言の妨害が多く、政策論議につながらなかった。

 トランプ氏は、1期目の成果の説明よりも、バイデン氏をおとしめることに力を入れた。副大統領や上院議員など40年以上に及ぶバイデン氏の政治経験を「何も成し遂げなかった」と切り捨て、家族の素行にも非難の矛先を向けた。

 司会の進行に従わず、ひっきりなしに口を挟むトランプ氏の姿は、支持者集会での演説スタイルと変わらず、およそ大統領らしさに欠けていた。反対派との対立をあおって支持層の結束を固める再選戦術を貫くつもりなのだろう。

 自らの施策で新型コロナウイルスによる米国の死者を減らしたと主張し、感染拡大の責任は中国に帰した。白人警官の黒人に対する暴力に端を発した騒乱は、「左翼」の運動が主因だと決めつけた。

 連邦最高裁判所の判事任命を巡っても、トランプ氏が空席を埋める手続きを急いだことで、党派対立がさらに深まっている。

 大統領選で問われるべきは、こうした分断を助長するトランプ政治の継続の是非であろう。

 バイデン氏は、「トランプ氏はコロナに対処するすべがなく、パニックに陥っていた」と責任を追及した。「最悪の大統領」「人種差別主義者」との攻撃も加えた。

 コロナ対策や人種問題を巡る両候補の考えの違いは、そのまま支持者に反映されている。国民融和を唱えるバイデン氏が、トランプ支持者の心を動かし、溝を埋めていくのは容易ではあるまい。

 大統領選は、コロナ禍のため、郵便投票が増え、開票に時間がかかる公算が大きい。投開票を円滑に進め、できるだけ速やかに勝敗を決めることが重要である。

 トランプ氏は討論会でも、郵便投票で不正が行われる可能性を提起し、結果を受け入れるかどうかについて、明言を避けた。民主主義の根幹である選挙の信頼性を、大統領自らが否定するような態度は慎まねばならない。

 投開票を巡る混乱が長期化し、権力の空白が生じれば、全世界に影響が波及する。トランプ氏は、その重みを認識すべきだ。

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1512778 0 社説 2020/10/01 05:00:00 2020/10/01 05:00:00

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