座間事件初公判 SNS犯罪の抑止につなげよ

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 SNSに潜む危険が、改めて浮き彫りになったと言えよう。事件の教訓を、同様の犯罪の防止に生かさねばならない。

 神奈川県座間市で2017年に起きた、9人殺害事件の裁判員裁判が東京地裁立川支部で始まった。強盗・強制性交殺人罪などに問われた白石隆浩被告は初公判で、「間違いない」と起訴事実をすべて認めた。

 被害者は、SNS上に「死にたい」などと書き込んでいた15~26歳の男女だ。白石被告は、一緒に自殺しようと誘っていた。

 検察側は冒頭陳述で、被告が「自殺願望のある女性なら言いなりにしやすい」と考え、自らも自殺志願者のように装って投稿を始めたと指摘した。金づるにならないと判断すると乱暴し、殺害して金を奪ったとしている。

 そうだとすれば、被害者の悩みや揺れる心情につけこんだ、許しがたい犯行である。

 一方、弁護側は、9人の被害者がいずれも殺害を承諾していたとして、刑が比較的軽い「承諾殺人罪にとどまる」と主張した。

 裁判は、12月15日に予定される判決まで2か月半に及ぶという。裁判所には、裁判員の心身の負担を減らす工夫が必要になろう。

 遺体を包丁でバラバラに切断するなど、残虐な手口の事件である。証拠を目にした裁判員がショックを受けないよう、遺体の写真はイラストで代用するという。

 裁判員の精神的負担に配慮しつつ、事件の重大性が正しく伝わるように審理を進めてほしい。

 被害者が多く、証拠も膨大になる。裁判員の混乱を避けるため、裁判では被害者を3グループに分け、検察側が意見を述べる論告もそれぞれ行う。裁判員の理解を助ける手法として評価できよう。

 近年は、SNSを介して見知らぬ相手と出会い、犯罪に巻き込まれる若者が増えている。今後の裁判では、被告が被害者を言葉巧みに誘った手口も詳細に明らかになるだろう。甘言にだまされないよう、予防策に役立てたい。

 インターネット上には、自殺を示唆する書き込みがあふれている。事件後、国やSNS事業者が監視を強化し、相談体制も拡充したが、追いついていない。

 「死にたい」という訴えは、助けてほしい、誰かに話を聞いてもらいたい、という気持ちの裏返しだと指摘する専門家もいる。

 生きづらさを訴える人たちが犯罪者と接触する前に、信頼できる相談窓口につなぐ仕組みを早急に整えることが大切だ。

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1515942 0 社説 2020/10/02 05:00:00 2020/10/02 05:00:00

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