東証終日停止 資本市場の信頼損なう失態だ

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 証券取引所は資本市場の心臓部である。取引が終日、全面的に止まるような事態は本来、あってはならないことだ。

 東京証券取引所で、株価など相場情報を配信するシステムなどに障害が起き、取引開始から全銘柄で売買を停止した。機器が故障し、バックアップへの切り替えもできなかったという。

 同じシステムを使う札幌、名古屋、福岡の証取も停止に追い込まれ、終日、復旧できなかった。

 東証が、システム障害で全銘柄の取引を停止するのは、2005年11月以来だ。終日停止するのは1999年の現行システム導入以降、初めてとなる。

 東証は、早期再開と原因究明に全力を尽くさねばならない。

 証券市場は、企業と投資家を仲介し、日本経済に資金を円滑に流す重要な役割を担っている。

 中でも東証は、ニューヨークやロンドンとともに世界有数の取引所で、上場株式の時価総額は世界3位の規模だ。売買代金の過半を外国人投資家が占めており、終日停止は世界的に影響が大きい。

 取引停止は、経済統計として市場の注目が高い日本銀行の全国企業短期経済観測調査(短観)が発表された直後で、米国の株価が上昇した後だった。取引材料の多い局面であり、投資家の取引機会を奪った責任は重大である。

 東証では、過去にも問題が相次ぎ、2018年には証券会社とつなぐシステムの障害で一部銘柄の取引を止める事態が起きた。なぜ教訓を生かせなかったのか。

 対策としては、バックアップに万全を期すのが基本だろう。ダウンしても取引を続けられるような二重、三重の備えが不可欠だ。停止した場合でも、素早く復旧できる体制整備が急務となる。

 東証は10年に新しい基幹システムを導入し、昨年11月、5000分の1秒という超高速取引を可能にする刷新をしたばかりだ。システムの高度化は必要だが、今回のような落とし穴もある。サイバー攻撃のリスクも高まっている。

 トラブルが続くようだと、世界の投資家から見放されかねない。東証は、開発会社とも連携しながらシステムのぜいじゃく性を総点検して、再発防止策を早急に実施することが不可欠である。

 取引停止後、東証の記者会見による説明は夕方になってからだった。東証は上場企業に対して、経営に影響を与える事案は迅速に開示するよう求めている。不利益を被った投資家らのために、速やかに情報を提供する責務がある。

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1515943 0 社説 2020/10/02 05:00:00 2020/10/02 05:00:00

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