不妊治療 当事者に寄り添った支援策を

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 子供を望む夫婦が経済的な負担を心配せず、治療を受けられるようにすることが大切だ。当事者の声を聞き、丁寧に制度設計を進めてほしい。

 政府が、不妊治療を公的医療保険の適用対象とするための検討に着手した。菅首相は政権の重要政策に位置づけている。

 妻が50歳未満の夫婦を対象とした国の調査では、不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦は5・5組に1組に上っている。治療件数は年々増加し、体外受精で生まれた子供は年間約5万7000人で、15人に1人となった。

 晩婚化で妊娠を考える年齢が上昇し、不妊に悩む人が増えている。子供を持ちたいと考えるカップルへの支援は、少子化対策の一環としても意義があろう。

 課題の一つは、経済的な負担の軽減である。不妊治療の多くは自費診療で、価格は医療機関によって異なっている。中でも体外受精は1回30万円以上かかり、何回も繰り返すうちに総費用が300万円を超えるケースもある。

 高額な費用を払えず、継続をあきらめる人が少なくない。収入が低い若い世代はなおさらだ。負担が軽くなれば、治療のハードルは下がるのではないか。

 政府はまず、体外受精への助成を拡充する方針だ。夫婦で年730万円未満という所得制限を緩和することや、助成金の増額について前向きに検討すべきである。

 保険適用には政府の諮問機関での議論が必要で、実現するのは早くても2022年度の見通しだ。政府は今月から、件数や費用などについて実態調査を進め、制度設計に反映させるという。

 保険適用の利点は、有効性が高い標準的な治療が、同一の価格で提供されるようになることだ。どの医療機関でも一定の質が保たれ、費用の透明性が高まろう。

 一方、治療が画一化され、その人に応じた最適な医療を受けられなくなるという懸念もある。

 対象とする治療や価格のほか、回数や年齢の制限についてどう判断するか。現状を分析し、効果的な仕組みを考えてもらいたい。

 当事者がつらさを感じるのは、治療を重ねても成功の保証がないことだ。1回の体外受精から出産に至るのは35歳までは2割だが、40歳以降は1割を切っている。

 こうした現実を広く伝えるとともに、若いうちに子供を産み、育てられる環境もあわせて整えねばならない。若者の雇用改善や子育て支援の充実など幅広い対策を講じることが政府の責務である。

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1518428 0 社説 2020/10/03 05:00:00 2020/10/03 05:00:00

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