コロナ治療薬 選択広げ安定した医療体制に

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 新型コロナウイルスは冬場に再び感染の波が来る恐れがある。政府や医療機関は、重症化を防ぐための効果的な薬の使用法を検討してほしい。

 富士フイルム富山化学は、新型インフルエンザ治療薬「アビガン」が、新型コロナにも有効だとする治験結果を発表した。10月にも承認申請する方針だという。

 承認されれば、抗ウイルス薬「レムデシビル」、抗炎症薬「デキサメタゾン」につぐ3例目の治療薬となる。先行の2種は症状の重い患者用だったが、アビガンはそれほど重くない人向けで、治療の選択肢を広げる意義がある。

 アビガンは、安倍前首相が記者会見で「5月中の承認を目指す」と述べ、注目を集めた。投与された芸能人らが回復したと伝えられたこともあって、効果に期待が高まった経緯がある。

 しかし、感染者が一時的に減ったため、治験に必要な患者数が集まらず、申請が大きく遅れた。

 海外では、承認を急ぐあまり、効果や安全性の確認がおろそかになるケースもある。それらが確認できるまで治験を続けたのは、妥当な対応だったと言える。

 治験は、多数の患者に投薬し、投薬していないグループと比べることで、統計的な差が出るかを見極める作業だ。アビガンを投与されなかったグループは回復に14・7日かかったのに対し、されたグループは11・9日で済んだ。

 ただ、胎児への悪影響といった副作用の恐れもある。日本集中治療医学会などは診療指針で、軽症者へのアビガン投与を「弱い推奨」とした。国は客観的な審査で、承認の可否を判断してほしい。

 今夏の再流行では、感染者数は増えたものの、死者数は抑えられた。デキサメタゾンなど複数の薬剤を使い分けたことで、重症化を防げたのではないか。今後の治療法の確立に生かしたい。

 ワクチン開発は各国で進んでいるが、いつまでにどの程度の量が供給されるのか不透明だ。接種が始まっても、効果が小さかったり、重い副作用が見つかったりする恐れはあり、流行抑止の決定打になるかどうかは分からない。

 依然として手探りの段階にある治療薬やワクチンに対して過剰な期待を抱くことは禁物だ。引き続き感染予防の習慣を維持し、感染者数を抑える必要がある。

 現在の治療薬は、いずれも他の病気の治療用に開発された既存薬を転用したものだ。政府は長期的な視点に立ち、特効薬の新規開発にも努めてもらいたい。

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1520318 0 社説 2020/10/04 05:00:00 2020/10/04 05:00:00

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