ドイツ統一30年 東西の格差縮小が繁栄導いた

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 冷戦時代に東西に分断されたドイツが統一してから30年が過ぎた。粘り強い取り組みで、旧東独地域の成長と統合を促進し、安定と繁栄を実現したことは特筆される。

 メルケル独首相は、3日の統一30年に際し、「国民全員が成し遂げた、歴史的に例がない業績に感謝したい」と述べた。

 統一時の最大の課題は、共産党独裁体制の非効率的な計画経済下にあった旧東独地域を、西側の市場経済に組み入れることだった。政府は、東側の住宅、交通・通信網、学校などの社会資本の整備を重点的に進めた。

 インフラと投資環境を整え、雇用の場を生み出すことで、東西の格差を埋める戦略が成功したことは、数字に如実に表れている。

 旧東独地域の1人当たりの域内総生産(GDP)は、統一時から4倍以上に伸びた。賃金水準も、西側地域の85%まで追いついた。電気、建設、光学などの分野で技術力を持つ企業が育っている。

 統一後も続いた旧東独地域の人口減少に、この10年間で歯止めがかかったことは注目に値する。西側への移住者が減り、東側への流入と釣り合うようになった。保育施設の充実もあり、出生率は西側と同水準の1・6に回復した。

 政府が9月の報告書で、東西の分裂は「大部分克服された」と強調したのは、諸政策が成果を上げたと自負しているからだろう。

 課題も残されている。西側の人々が優越感を抱き、東側の人々が傷つくという「心の壁」が、今も双方の間にあることは、統一時には想定されていなかった。

 経済格差が縮小しても、東側には「2級市民として扱われた」とのわだかまりが消えないという。「反難民」を掲げる新興右派政党が近年、東側で支持を広げているのは、西側を基盤とする既成政党への不満の表れと言える。

 一方で、政策の継続性が発展の原動力となったのは間違いない。左派のシュレーダー政権が、東側への投資などで膨らんだ財政赤字の縮小に向けて構造改革を始め、保守のメルケル氏もその路線を引き継いで財政を健全化した。

 旧東独出身のメルケル氏は、来年秋に政界を引退する。新興右派や環境政党が伸張し、多党化が進むなか、ドイツ政治が安定を維持できるかが問われよう。

 ドイツが欧州随一の経済大国として、欧州連合(EU)の安定に寄与することも大切だ。コロナ禍で厳しい状態にある国への支援などを柔軟に進めてもらいたい。

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1521776 0 社説 2020/10/05 05:00:00 2020/10/05 05:00:00

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