学術会議人事 混乱回避へ丁寧な説明が要る

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 学術研究に関わる組織を政争の場にしてはならない。問題の所在をきちんと整理すべきだ。

 政府が、日本学術会議が推薦した新会員候補105人のうち、法学者ら6人を任命しなかった。推薦を受けて、任命を拒否するのは初めてだ。

 学術会議は、科学の振興について提言する機関で、日本学術会議法に基づき、首相が所轄している。優れた研究や業績のある科学者など210人で構成される。会員の任期は6年で、3年ごとに半数が入れ替わる仕組みだ。

 政府は1983年、会員の選出方法について、学者による選挙制から、学術団体の推薦を踏まえた首相の任命制に改めた。

 その際、「政治的介入が予想される」という野党議員の指摘に対し、当時の中曽根首相が「政府が行うのは形式的任命にすぎない」と答弁した経緯がある。

 今回の決定について、政府が十分に説明していないのは問題だ。過去の答弁との整合性をどう取るのか。菅首相は、判断の根拠や理由を丁寧に語らねばならない。

 除外された学者には、安全保障関連法や改正組織犯罪処罰法に反対した人が含まれていた。野党推薦の公述人として、国会で安保法の廃案を求めた学者もいる。

 安倍前内閣の施策を批判したことが、除外の理由ではないかと反発している。多様な意見表明の機会を閉ざしてはなるまい。

 学術会議は、推薦通りに任命するよう政府に求めている。野党は「学問の自由を脅かす重大な事態だ」として追及する方針だ。

 6人は自由な学問や研究の機会を奪われたわけではなく、野党の指摘は的外れだろう。

 学術会議は、政府の研究開発予算の配分に大きな影響力を持っているとされる。政府はその運営に年間10億円の国費を投じており、会議の活動や人事に、一定程度関与するのは当然である。

 学術会議のあり方も問われている。会員の選考過程や、会議の運営が不透明だという指摘は多い。改善を図ってもらいたい。

 先の大戦で科学者が戦争に関わった反省から、1949年に設立され、「軍事目的の研究を認めない」という立場を維持している。2017年には、防衛装備庁の研究支援制度を利用しないよう、大学などに呼びかけた。

 情報技術が飛躍的に発展した現在、科学の研究に「民生」と「軍事」の境界を設けるのは、無理がある。旧態依然とした発想を改めることも必要ではないか。

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1524748 0 社説 2020/10/06 05:00:00 2020/10/06 01:42:14

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