虐待児保護所 満員状態の解消が急がれる

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 虐待リスクの高い子供は迷わず保護しなければならないのに、受け皿が足りない。十分なケアができない状況を、早急に解消すべきだ。

 虐待を受けた子供らを預かる児童相談所の一時保護所が、満員状態になるケースが目立っている。読売新聞の調査によると、昨年12月時点で、全国139か所(当時)の2割が入所定員を上回って子供を受け入れていた。

 特に都市部では、慢性的に定員超過の保護所が多く、中には2・3倍に上るところもあった。食堂や学習室を居室に代用するなどしてしのいでいるというが、望ましい生活環境とは言えまい。

 一時保護所は、児童福祉法に基づき、虐待や非行などの問題を抱えた子供を緊急的に預かる施設だ。原則2か月以内の入所期間中に、児相が本人や家族の状態を調べ、家庭に戻すか、児童養護施設などに入所させるかを決める。

 近年相次ぐ虐待死事件を受けて、厚生労働省は全国の児相や自治体に対し、虐待リスクが高い場合は躊躇ちゅうちょなく一時保護するよう求める通知を出している。

 一時保護所が満員だと、「上司から暗に『連れてくるな』といったプレッシャーを受ける」と打ち明ける職員もいるという。子供の命にかかわる深刻な事態だ。空きがないために、必要な保護をためらうことがあってはならない。

 児童虐待の深刻化に伴い、2018年度の一時保護件数は4万6000件に上り、5年間で1・4倍になった。虐待の影響で情緒や行動が不安定になり、個別のケアを必要とする子が増えている。

 2か月の入所期間を超えて、半年以上も一時保護所で生活しなければならない子もいる。

 国や自治体は、職員の増員や専門的な能力の向上に加え、居住スペースを拡充するなど、受け入れ態勢を強化してもらいたい。

 保護所でトラブルが多発しているのは気がかりだ。16~19年、けんかや自傷行為で入所者が負傷した事故は300件を超える。

 職員の目が行き届かないことが一因ではないか。大勢の子供に対応するため、私語禁止などのルールを設けている保護所もあるという。厳しい管理が子供にストレスを与えている面は否めない。

 厚労省は9月、一時保護のあり方を検討する有識者会議を設置した。保護所内の生活環境の向上についても話し合うという。

 虐待に苦しむ子供が保護によってさらに傷つくことがないよう、きめ細かい配慮を望みたい。

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1529961 0 社説 2020/10/08 05:00:00 2020/10/08 05:00:00

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