コロナ情報共有 現場が使いやすいシステムを

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 医療現場にとって使い勝手の悪いシステムが、普及しないのは当然だ。政府は現場の声に耳を傾け、負担軽減に手を尽くさねばならない。

 新型コロナウイルスの感染拡大の芽をつむには、国と自治体が感染状況をいち早く、一元的に把握できる体制の整備が重要である。そのために導入されたのが、国の情報システム「HER―SYS(ハーシス)」だ。

 医療機関は感染症法で、患者の氏名や発熱などの症状、検査結果を記した「発生届」の提出を義務付けられている。従来は保健所にファクスで送信し、各保健所がまとめて国に報告していたが、情報集約の遅れが目立っていた。

 ハーシスでは、各医療機関がオンラインで入力した「発生届」の情報を保健所や自治体、国が即座に共有できる。保健所が感染者の行動歴や濃厚接触者を打ち込むことも可能で、情報共有の迅速化の切り札になるはずだった。

 だが、システムが5月末に導入されて以降、利用は思うように進んでいない。厚生労働省の調査では、回答のあった318医療機関のうち、ハーシスの活用は約4割にとどまり、約半数がまだファクスなどを使っているという。

 「発生届」を保健所が代行入力している自治体も108に上り、負担減につながっていない。

 利用が低調なのは、ハーシスの入力項目が約120にも及び、医療従事者の作業量の増加を招いているからだ。案の定、現場からは「患者が多い時には煩雑すぎる」との不満が相次いでいる。

 厚労省はシステム導入を急ぐあまり、医療を担う最前線の実態を十分に把握していなかったのではないか。症状や感染経路、発症日など約30の優先入力項目を定め、利用増を促すという。負担を減らす対応を急ぐべきだ。

 冬場に向けて、インフルエンザとの同時流行が懸念されるなか、国は、新型コロナに感染した疑いのある患者をかかりつけ医が診療、検査する体制づくりを求めている。感染情報を扱う医療機関は増えることになろう。

 厚労省は、扱いやすいシステムへの改善を続けねばならない。

 ハーシス導入に伴い、医療機関や自治体が人員配置や業務の流れを見直す場合は、国が要員派遣や助言などを通じた支援を強化していくことも必要だろう。

 東京や大阪など大都市の自治体は、独自のシステムを持つ。ハーシス入力と二度手間とならない仕組みの構築も重要だ。

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1529962 0 社説 2020/10/08 05:00:00 2020/10/08 05:00:00

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