ゆうちょ銀被害 情報開示の遅れが傷を広げた

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 国民に身近な金融サービスで、不正による被害が相次いでいるにもかかわらず、顧客軽視が目に余る。企業体質の抜本的な改革が急務だ。

 ゆうちょ銀行で、貯金口座にひも付けた電子決済サービスを通じて顧客のお金が流出する被害が多数、発覚した。

 不正引き出しは、9日時点で、NTTドコモの「ドコモ口座」やソフトバンクグループの「ペイペイ」など7社で210件、約5000万円が確認されている。

 口座とひも付ける際の本人確認が不十分だったという安全対策の不備が大きな要因だが、さらに問われるのは、情報開示に消極的なゆうちょ銀の姿勢である。

 ドコモ口座の不正引き出しが判明した後、記者会見で質問を受けた池田憲人社長は、ドコモ経由の被害以外は説明しなかった。その後、当時の高市総務相が「ドコモだけではない」と指摘し、不正被害の広がりが明らかになった。

 同様の不正は、2017年7月から起きていたが、それも公表していなかった。速やかに周知して注意を促していれば、被害の拡大を防げた可能性がある。

 不審な引き出しの相談を受けながら、数年以上、補償をしていない事例もあったという。顧客を保護する意識が、著しく欠如していると言わざるをえない。

 池田社長は、9月下旬になって記者会見で、「段取り調整が進んでいなかった。早く公表しなかったことは反省している」と陳謝したものの、失われた信用を取り戻すのは容易ではない。

 自社のプリペイド機能付きデビットカード「mijica(ミヂカ)」で不正送金が行われた問題でも、対処の遅れが目立った。

 8月に不正を確認していながら発表せず、9月半ばに送金の上限額を引き下げただけで、サービスの停止は見送っていた。それが被害を広げる結果を招いた。

 ゆうちょ銀は、約1億2000万の口座を抱える国民的な金融インフラである。丁寧な対応や説明など、「顧客第一」の営業姿勢を徹底することが不可欠だ。

 顧客からの苦情などの情報が、速やかに経営陣に伝わるような体制の整備が必要となろう。

 同じ日本郵政傘下のかんぽ生命保険では昨年、多くの不適切な契約が発覚して、強い批判を浴びた。現場の声が上層部に届かない風通しの悪さが一因とされた。

 日本郵政グループが一体となって問題点を洗い出し、再発防止につなげねばならない。

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1538684 0 社説 2020/10/11 05:00:00 2020/10/17 09:53:07

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